このシリーズでは、日本医科大学の数学の問題を解いていきます。
19回目の今回は2004年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
制約条件の付いた目的関数の最大値最小値を求める問題です。
制約条件から、x=cosθ, y=sinθとパラメータ表示できるので、これを使ってu^2+v^2をθだけの関数にできます。その最大最小は微分するまでもなく簡単に調べられます。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題です。
表がa回、裏がb回出たとして、xの値に応じた(a,b)の組を調べてあげればよいです。xは必ず偶数となることが分かるので、(2)では6の倍数だけ調べればOKです。
<筆者の解答>
第3問
面積計算とその極限計算の問題です。
問題文から、まずは△ABCと△DEFがどう配置されるかを正しく読み取って図にする必要があります。
(1)(2)まずはRがどんな領域かを調べないことには始まりません。A,B,C,Pからできる四角形が凸四角形になる条件は、
・Pは、他の2点と同一直線上に乗らない(じゃないとそもそも四角形を作れない)
・ある点は、他の3点からなる三角形の外側にないといけない(じゃないと矢じり型になってしまう)
の2つなので、そうなるような領域がRとなります。
これをもとにRかつUを図示して、面積計算しましょう。それには、3つの隅にある小さな正三角形を考えてあげるとよいでしょう。(1)ができていれば、(2)は容易に計算できます。
(2)の結果は1/3となりますが、x→∞とした状況は、△DEFをそのままに△ABCを圧し潰して1点にした状況に相当すると考えることで、その結果が妥当だと分かります。
(3) 図形が色々入り乱れていて複雑ですが、実は図形的な大小関係のみで視覚的にα,β,γの大小関係を説明することができます。
(当初それに気付かぬまま解こうとしたため、答案ではα,β,γをそれぞれ計算しようとしています。αとγは容易に計算できますが、βは計算が難しいです)
(4)要するにαの計算です。Tが半径y+1/√3の円であり、SかつTは、それの中心角60°の扇形になっています。
(5)図を描くと、RかつVの面積が3×(β-√3/4)と書けることが分かります。これに気付ければ、(3)の不等式を使ってはさみうちに持ち込む、という発想が浮かぶはずです。
こちらの結果も、(2)同様に、Vのサイズそのままに△ABCを圧し潰して1点にした状況と考えることで妥当なものだと分かります。
<筆者の解答>
第4問
曲線の接線によって作られる点列に関する問題です。
(1)これは流石に教科書レベルで説明不要でしょう。計算ミスだけには注意です。
(2) (1)で求めた接線がP0を通るようなtの値を調べていきます。tの値は3種類出て来ますが、t≠1かつt>0を満たすものは一つしかありません。
(3)加法定理を使えばよいでしょう。(4)の計算のヒントとなっています。
(4) l1の式を具体的に計算して、積分による面積計算に持ち込みます。積分の一部にx=tanθと置換する部分が発生し、そこで(3)の結果を使うことになります。
(5) Pnのx座標をtnとして、tnの極限を調べていくことになります。
まず、(2)と同じような操作をするとtnに関する漸化式が求まりますが、残念ながらそこから一般項を求めることができない形になります。なので、漸化式から、直接tnの極限値を計算していくことになります。
もし、tnがTに収束するなら、漸化式のtn, tn-1を両方Tにした方程式を解くことでTの値を求めることができます。なので、tnの極限値の「予想」は比較的簡単にでき、Pnの収束先の結果だけならすぐに求まります。
しかし、それはあくまで「tnが有限の値に収束する場合は」という仮定の下での議論なので、実際に収束することを示さないと、大幅減点でしょう。この「tnがTに収束することの証明」が、ノーヒントだとかなり難しい所です(大抵の場合は誘導が付くはずです)。
ここは、よくあるテクニックなのですが、|tn -T| ≦r×|tn-1 -T|となるような1より小さい正の値rが見つかりさえすれば、はさみうちによってtnがTに収束することが示せるので、このrを見つけてくることに専念します。
漸化式を使って、|tn -T|から無理やり|tn-1 -T|を括りだして、残った係数を評価していきます。その際、途中途中で不等式をうまく評価してあげる必要があり、発想力が必要です。
ちなみに、最終的に求まったPnの収束先は、ちょうどCの変曲点になっています。
<筆者の解答>