ちょぴん先生の数学部屋

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ラングレーの問題 ~100年前に出題された有名な図形問題~

皆さん、こんにちは。

 

今回は、このブログでは珍しい、図形問題を取り上げてみたいと思います。

その名もずばり「ラングレーの問題」。

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上の図において、角度xを求めてください、という問題です(△ABCは二等辺三角形です)。実は小学生でも解けてしまうので、一度ノーヒントで挑戦してみてください。

かなり難しい問題です。

小中学生の範囲で解ける「初等幾何」を使った解法を3つほど紹介します。

 

1. 初等幾何による解法その1

これは、筆者が初見で解くことのできた唯一の解法です。

 

まず補助線を引かなくても分かる角度を一通り書き込んでしまします。

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この時点で、緑の三角形が二等辺三角形となり、BC=BEとなることに気が付きます。

 

ここから、次々と二等辺三角形を作っていくのがこの解法1になります。

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ここで、補助線を引いて黄緑のようなBC=BFとなる二等辺三角形を作ると、角度計算で∠DBF=40°と分かるので、さらに補助線を引くと

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黄色のような正三角形ができます。ここで、見方を変えてみると、

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水色の三角形が、2角が等しいので二等辺三角形になることが分かります。すると、

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赤の二等辺三角形が見えてきます。ここまでくれば、70°=x+40°が分かるので、

 

x=30° と求まります!!

 

実に鮮やかに二等辺三角形が次々に出来ていく様が爽快ですね。
 

1. 初等幾何による解法その2

 

残りの解法は、wikipediaに書かれていたヒントに従って解いたものになります。

 

初手の二等辺三角形を見つける過程は解法1と同じです。

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ここで、BC//FDとなるように補助線を引きます。

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すると、黄色の三角形とオレンジの三角形が両方とも正三角形になることが分かります。さらに補助線を引いてあげると、

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水色の三角形が二等辺三角形となり、角度計算が進みます。すると、

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ピンクの三角形の2つの角が等しくなるので、二等辺三角形となります。ここで、見方を変えると、

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「2辺と挟まれた1角が等しい」という三角形の合同条件から、青の三角形と赤の三角形が合同だと分かります。

 

ここから60°-x = x より、x=30°が分かります。

 

1. 初等幾何による解法その3

 

ここまでは、点Aが一切絡まない方法だったのですが、解法3では点Aを生かした解法となります。

 

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初手では、黄色の大きな三角形が二等辺三角形になることを確認します。

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その後、点Aが頂点になるような黄緑の正三角形を作ります。

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すると、「1辺と両端の角が等しい」という三角形の合同条件から、ピンクの三角形と水色の三角形が合同だと分かり、いくつか長さの等しい辺が分かります。

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さらに、それとは別に角度計算から、オレンジの三角形が二等辺三角形だと分かります。

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ここまで集まった情報をもとに、赤の三角形を考えると、2辺の長さが等しくなることが分かるので、赤は二等辺三角形になります。

 

頂角が80°で底角が80°-x と分かっているので、

80°+ 2×(80°-x) = 180° を解けばよく、結果x=30°と分かります。

 

このように、補助線の引き方によって、色んな解き方があるのが図形問題の面白い所ですよね。

 

4. 高校数学を使って解く方法(正弦定理)

 

ここまでは、うまい補助線を引くことで小中学生でも解ける方法だったのですが、そうそううまい補助線なんて閃きません。ということで、思考停止でゴリ押せる方法も一応紹介します。

 

使用する道具は正弦定理で、次のように解けます。

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正直、有名角ではない20°,40°,80°が登場するので、相当工夫しないと答えまでたどり着かないので、この方法でも厳しいと思います。

 

なのでこれは最後の手段。できる限りうまい補助線が引けないかな、と粘る方がよいと思います。

 

以上ラングレーの問題でした。

他にも別解を思いついた方がいれば、是非とも教えてください。