このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。
11回目の今回は2012年です。
第1問
辺の長さが指定された三角形の面積と回転体の体積を考える問題です。
(1)辺の長さが正であることと、三角形の成立条件「2辺の和>残り1辺」を使って調べていきます。
(2)余弦定理で一発です。
(3)実質sinθを調べれば解ける問題です。
(4)底面半径がsinθ, 高さの合計がAB=xとなる2つの円錐の体積として考えるとよいです。
<筆者の解答>
第2問
外心の絡んだ、平面図形の総合問題です。問題文にこそベクトルが登場していますが、実質使う知識は「初等幾何」のオンパレードです。一部の問いは高校生よりもむしろ中学生の方が正答率が高いかもしれません笑
(1)Oは△ABCの外心なので、OAと垂直な直線は、△ABCの外接円のAでの接線になていることに気付けるかがポイントです。
長さの情報が何も与えられてないので、AP=AQを示そうと思ったら△APQが二等辺三角形であることを示せばよく、その手段は角度を使うとよいです。
(2)△APQが正三角形となるには∠BAC=60°であればよく、これは円周角の定理から∠BOC=120°と同値です。なので、OBとOCの内積が分かる形に与式を変形すると、xとyの方程式ができます。平方完成してあげることで整数解を求められます。
しかし、これで終わり!にしてはダメです。まだ「Cは線分BD上にある」という条件を使っていないので、それを満たす組だけ抽出してあげる必要があります。
「Cは線分BD上にある」は、AがC寄りに偏っていれば実現できるので、それは角度の大小、ひいては内積の大小に帰着できます。
(3) (2)までの結果から△ABCの各辺の長さを外接円半径rの式で表現できます。ここから即座にS1は調べられます。
S2については相似の関係や、角の2等分線の性質などを駆使していかないとAPの長さが求まらず苦戦することになります。
<筆者の解答>
第3問
またしても図形問題ですが、今度は四面体という空間図形の問題です。
まずは四面体ABCDをきちんとイメージすることが大事です。そうすると、B(0,0,0), A(0,1,0), C(0,1,a), D(b,0,0)と座標を設定してあげれば見通しが良くなることが分かります。
(1)(2)明らかに(2)から攻めるべきだと思うのですが、気のせいですかね?
四面体の体積と表面積からrが計算できますが、cについては少し難儀します。
内接球の中心Pは(r,t,r)のようにy座標だけが未確定の状態になります。△BCDと接する条件からy座標tを確定しましょう。そうするとPとK:y=1との距離からcが計算できます。
(3)Hはy=1/2と表現でき、PとHの距離がrより大きければ条件を満たしますので、まずはそうなるrの条件を調べていきます。そして(2)の結果を使ってbの範囲に書き換えていきます。
<筆者の解答>
第4問
積分の極限値の計算問題です。この年のセットの中では際立って簡単な問題です。正直言って問題文のヒントが過剰だと思います。
(1)与式の右辺の分母を見ると、Inの積分の中身の形がそのまま引き継がれていることが分かります。ということは、分母の関数f(x)=x+log(1+x)の、積分範囲での取りうる値の範囲を調べてしまえばよさそうです。幸いにして分子の2πは、積分で分母を無視して計算した値その物になっています。
(2)同様にInを下からも評価できるので、あとははさみうちに持ち込むだけです。
<筆者の解答>