東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の2000年の問題を取り上げます。
第1問
多項式に関する問題です。「M多項式」「合同」「可約」「既約」など、この問題特有の用語が多く、しょっぱなから手を付けづらい問題になっています。
(1)可約なとき、2つの1次のM多項式の積と合同になります。1次のM多項式は簡単に2種類求まるので、どの2つの積を作ってもできないM多項式が既約となります。
(2)2,3次のM多項式を全て列挙して、その中から可約なものを全て除去して残った多項式が、既約なM多項式となります。
(3) (2)と同じことを4次式についても行います。4次となると積の組み合わせが増えるので、検討には骨が折れます。。。
<筆者の解答>
第2問
円と放物線が接する条件と、体積を考える問題です。
(1)図形の対称性から、接点のx座標は、x=M, -Mの2つとなります。この時、円の式と放物線を連立した方程式は、(x-M)^2 (x+M)^2 = 0と因数分解されるので、これを用いて係数比較しましょう。
(2)テンプレの体積計算の問題です。
(3)Vをaで微分して増減を考えればよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
(筆者注: 誤f(s), 正f(x) )
log2の近似値を求める問題です。誘導が丁寧なので、うまく乗っていきましょう。
(1)f(x)を微分するとΣの外れたきれいな式になるので、これを積分しましょう。
(2)分母にn+1が登場しているので、分母を定数に置き換えて積分するという発想が出てきます。(ⅰ)(ⅱ)はその考え方で解けます。(ⅲ)は、(ⅰ)(ⅱ)の引き算で行けます。
(3) (2)でx=1/3とするとlog2が作れるので具体的に計算しましょう。また誤差が1/100以下になるようにうまくnを取ってくる必要があります。
<筆者の解答>
第4問(a)
cos20°にまつわる方程式の問題です。
(1)60°を作りたいので、3倍角の公式を使ってみましょう。
(2)グラフを描けば、整数解がないことはすぐに分かります。あとは、有理数解がないことを背理法で証明しましょう。
(3)これも背理法です。αを解に持つ有理数係数の2次方程式が存在すると仮定すると、(1)の3次方程式を次数下げできますが、矛盾が発生します。
<筆者の解答>
第4問(b) ※都合により省略
第4問(c)
空間図形の問題です。
(1)方程式を変形すると、球の方程式になります。
(2)平面の式がx/a+y/b+z/c=1となるので、(1)ができていれば容易いでしょう。
(3)体積が最大となるのは、PQが△ABCに垂直な時です。PQの長さは(1)で分かっているので、あとは△ABCの面積が分かれば十分です。
<筆者の解答>
第5問(a)※都合により省略
第5問(b)
極座標をいじり倒す問題です。正直何がしたい問題なのか、意図が見えませんでした。
(1)共有点の座標は、2つの極方程式を連立すればよいです。
図示についてですが、できる限り、普段使っているデカルト座標に直せないかを考えます。C1はキレイに直りますが、C2はうまくいきません。C2は仕方ないので、x座標y座標をθで微分して増減を調べます。
(2)(3)ともに、図に書いて図形的に解きます。
<筆者の解答>
第5問(c)
連立方程式を解く問題です。(5)は、大学数学の線形代数で最初の方に習う、「行基本変形」という操作を行います。
(1)は、Qを文字で置いて、虱潰しに解きましょう。
(2)単なる計算問題です。
(3)Pに逆行列があることは(1)で説明済みなので、自明ですね。
(4)も単なる計算です。
(5)は、前述したように、「行基本変形」という操作です。「行基本変形」とは言葉こそ難しいですが、要するに、連立方程式の各行を足したり引いたりする作業のことを指し、連立方程式を解いていく基本的なアルゴリズムです。この作業を、行列の掛け算で表現できるというのが、(4)までで言わんとしていることです。
行基本変形によって、係数行列の成分をできるだけ0にしていく(文字消去をしていく)ことを目指しましょう。
<筆者の解答>