ちょぴん先生の数学部屋

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令和の東北大理系後期数学 -2024年-

先日行われた2024年度の東北大学の後期数学を解いてみました。

第1問

確率の問題です。

 

(1)つねに2を予測し続ける場合には、1ゲームあたりの得点は0点か2点です。これに注意して、5ゲームで5点以上になるには2点が何ゲーム起きないといけないかを調べましょう。

 

(2)得点が4点以上になるまでは、上記の通り1ゲームに付き0点か2点しか入りません。なので、初めて4点以上になる時は必ず総得点は4点になります。これに注意して、何回目で初めて4点になるかで場合分けして調べればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問

放物線上の頂点で作る多角形の面積に関する問題です。

 

(1)いわゆる公式証明の問題ですね。こういう場合は小学校時代の原点、「底辺×高さ÷2」に立ち返るとよいです。そうすると高さを表現するのに三角比が必要になるので、その情報を得るために内積を利用することになります。

 

(2)登場してる3点の座標を求め、どれか一つを起点にした位置ベクトルを考えてあげれば、(1)の式に代入してお終いです。

 

(3) (2)の結果を使う方法があるのだと思いますが、そんなことをせずとも独立に計算できてしまいます。

図を描けば、大きな直角三角形から、短冊状の台形を差っ引けばSnになることがわかり、台形の面積は容易に計算可能です。

 

極限の結果は1/6となりますが、これはn→∞とすると多角形が直線と放物線で囲まれる図形そのものとなるので、当然の結果ですね。

 

<筆者の解答>

 

第3問

対数関数のグラフに関する総合問題です。

 

(1)よくある回転体の体積の問題で、実質(logx)^2の積分が問われています。logの入っている積分では、1=(x)'を無理やり作って部分積分するのが定石でした。

 

(2)問題文が回りくどいですが、l,mは要するに法線です。

l,mの式を計算しPの座標を計算するまでは一本道でしょう。極限計算では、「微分係数の定義」が上手く使えるように {F(b)-F(a)} / (b-a)の形を作るのがポイントです。

 

(3)単純にg'(x)とg''(x)を計算するだけの問題ですので、特にコメントすることはありません。

 

<筆者の解答>

[訂正] (3)のg''(a)の結果にミスがありました。分母を2乗し損ねていたため、正しくは-1/a^2となります。失礼しました。

 

第4問

整数問題です。

 

(1)連続3整数の積なので、3!で割り切れます。

・・・とあっさり書いてしまうのも味気ないので、中学生でもわかるように答案を書きました。3つの数のどれかは必ず3の倍数で、どれかは必ず偶数なので、結局6で割り切れるという話です。

 

(2) (1)の結果から(p-1)p(p+1)が6の倍数だと分かっているので、全体を6で割りたくなります。

すると、qの絡んだ部分のみ分数の形になります。13500を6で割っても整数のままなので、この分数の形が整数でないといけませんね。

この部分、全体が5で括れますが6とは互いに素で約分されません。なので、残ったq(3p^2+1)が6の倍数でなければなりません。3p^2+1が明らかに3で割り切れないので、qが3で割り切れないといけませんね。qは3で割り切れる素数、つまりこの時点でq=3が確定します。

残った3p^2+1が偶数でないとq(3p^2+1)が6で割り切れなくなってしまうので、pが3以上の奇素数、という情報も確定できます。

全体を6で割る、という操作だけでここまで情報を絞り込むことができます。

 

ここから少し経験が必要なところですが、3以上の素数は、3を除いてすべて6k-1または6k+1の形で書くことができます。なので、p=3の場合、p=6k-1の場合、p=6k+1の場合に分けて検討していきましょう。

 

後者2つについては最終的にkの3次方程式となりますが、係数が大きくすぐには解が見つかりにくいです。そんなときは、合同式を駆使してkがどんな余りを持ってないといけないか、あたりをつけておくのが良いです。今回の場合はmod9で考えるとうまくいきます。

最後に、求まったkに対してpがちゃんと素数になってるかのチェックも忘れずに。

 

<筆者の解答>

 

第5問

複素数平面の問題です。

 

(1) Cの式|z-α|=rに、w=1/zを代入して、全体をwの円の式になるように変形していきます。最後半径を求めるときに、絶対値をつけることを忘れないようにしましょう。

 

(2) (1)ができていればおまけのような問題です。

 

(3)r=|α|の場合、wの式は直線になります。w=x+iyとでもおいてxとyの関係式を求めてあげればよいです。

 

<筆者の解答>

 

第6問

数列の問題で、本セット最難問です。

 

(1)とりあえずルールに従って数列の振る舞いを調べてみると、anの場合は「0から1ずつ増えて15まで行き、そこから1ずつ減って0まで行く」をひたすら繰り返す数列に、bnの場合は同じく「0から1ずつ増えて14まで行き、そこから1ずつ減って0まで行く」をひたすら繰り返す数列になるとわかります。

 

これで周期性が分かったのでn=210の場合も調べられるわけです。

 

(2)問題文の和を改めてS'とおいて、S=S'つまりS-S'=0となることを示しに行きます。

 

そうなると、bn=b210-n になっていると嬉しいのですが、残念ながらそうは問屋が卸しません。下にanとbnのグラフを載せましたが、(1)で調べた通りa210は綺麗に周期終わりになってますが、b210はちょうど半周期のところで終わってしまってます。なので、bn=b210-nにはなりません。

 

しかし、そう考えると、綺麗に周期が終わってるanの方ならan=a210-nになってくれてるんじゃないか?と思えてきます。

 

そして、改めてS'の式を見ると、実はaの番号nとbの番号210-nをそのまま入れ替えても結果が変わらないことがわかります。nを小さい順に1から足していくか、nを大きい順に210から遡って足していくかの順番の違いしかないので。

 

これでゴールが見えてきましたね。

S'の番号を入れ替えてS-S'を計算すると、各項でan - a210-n =0となってくれるので全体の結果が0になってくれて証明完了です。

 

(3) (2)を解くにあたってはaとbの番号を入れ替えました。そうなると、こう疑問に思うでしょう。「じゃぁ、なんで元の問題文はbの方が210-nだったんだ?」と。

 

それは、bの番号が210-nの形も必要だからです。

 

anでやったのと同じようにbnとb210-nの関係を調べるとb210-n = 14 -bnが分かります。

これをS'の式に代入すると、右辺からS自身が姿を現し、結果としてSはanだけの和で書けることが分かります。

 

あとは、anが周期性を持つことから和を調べることができます。

 

この一連の流れは、いわばシグマ版「King Property」と言えましょう。全体としてこの発想が思いつけたかにかかってたので、難しい問題でしょうね。

 

<筆者の解答>

 

↓an, bnの振る舞い