このシリーズでは、山梨大学医学部後期の数学の問題を解いていきます。
8回目の今回は2015年です。
第1問(1)
内分点の極限の計算問題です。
γnはベクトルと同じ要領で値を求めることができ、分子を有理化して整理すると極限が計算できます。
<筆者の解答>
第1問(2)
2次方程式の整数解に関する問題です。
与式を平方完成すると、エについてはm^2+4m-1が0以上になる条件、オについてはm^2+4m-1が平方数になる条件を考えればよいことになります。オは積の形=数字にして処理するのが定石です。
<筆者の解答>
第1問(3)
制約条件付きの目的関数最大化の問題です。
制約条件を満たすx,yは容易くパラメータ表示できるので、それを使って目的関数を1文字の関数にして考えればよいでしょう。
<筆者の解答>
第1問(4)
関数の最小化問題です。
微分を使って増減を見ればよいでしょう。
<筆者の解答>
第2問(1)
点から平面への垂線の足の座標を調べる問題です。
Hはα上の点なので、OH=αOA+βOBという形で表現でき、さらにCH⊥αなので、CHはOAとも垂直でOBとも垂直になります。
<筆者の解答>
第2問(2)
角度の最大化問題です。
余弦定理を使って各角度のcosをxで表現して微分で増減を調べるというのがスタンダードな解法ですが、かなり計算量が多く大変です。さらにサの場合は候補が2つでてくるので実際にどっちが最大となるのかを比較する作業も発生します。
実は、図形的解釈を使った別解の方が簡単に解くことができます。
使うのは、「円周上の2点A,Qをとったとき、∠APQの大きさは(Pが円の中)>(Pが円周上)>(Pが円の外)となる」という性質です。
円がx軸に接するように設定すれば、Pがその接点P0以外の点だと∠APQ<∠AP0Qとなるので、P=P0のときに∠APQが最大になる、ということができます。
<筆者の解答>
第3問
正n角形の3頂点が鋭角三角形になる確率を計算する問題です。
円周角の定理を考慮すると、鋭角三角形となる場合を直接調べるよりも、余事象である「直角三角形」「鈍角三角形」となる場合を調べた方がよさそうだと分かります。
nが奇数だと直角三角形が作れないので、nの偶奇による場合分けが発生します。
<筆者の解答>
第4問
数列に関する問題です。
一見するとよく状況が分からないので、そんな場合はとにかく実際に数を代入して実験です。
ak=a(k,0)が与えられているので、とりあえずj=0を代入したものを最初に考えたくなります。するとj=1,2,3・・・と代入して全てをakの式に落とし込むと規則性が見えてきます。係数が2項定理そっくりですね。
こうして規則性が予測できるので、それを数学的帰納法で証明していきましょう。
<筆者の解答>
第5問
極限の計算問題です。
n乗根、階乗、累乗と積の要素がテンコ盛りなので、とりあえず対数を取ってみようとなります。
すると、n乗根の中身は、分母も分子も両方(a+b)n個の積の式になっているので、それぞれを分割することで区分求積法に持ち込むことができます。
ただし、Σの引数がそのままだと0~bn-1 (通常は0~n-1)となり通常の場合とずれが発生するので、M=bnとして通常の形に帰着させ辻褄を合わせる必要があります。
<筆者の解答>
第6問
対数関数の評価式を使って指数関数の値を評価する問題です。
問題文の不等式については、辺々の差をxで微分する、というお馴染みの解法で考えていきますが、今回は「上限」が0になっているので、「単調減少する」条件を探りに行くことに注意です。ということで、-0.03≦x≦0で単調減少するようにk,l,mを決めていけばよいでしょう。当たり前ですがl<mであることにも注意です。
今回はk,l,mの例を1つでも見つけてくればよいので、上記のような比較的緩い条件でOKです(単調減少しなくても、関数が0以上になる場合は普通に存在する)。
あとは、この不等式を使ってlog0.97の近似値を調べ、0.97^n<0.5を対数を取って考えていけばよいでしょう(数値計算は面倒です・・)。
※背景知識として、log(1+x)が
log(1+x)=x-x^2/2+x^3/3-x^4/4+・・・・とテイラー展開できることを知っていると、k=1でl,mは2付近がよさげだ、という予想ができますね。
<筆者の解答>