ちょぴん先生の数学部屋

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平成の名古屋大理系後期数学 -2004年-

このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

4回目の今回は2004年です。

 

第1問(情報学科)(a)

 

曲線の交点の個数を調べる問題です。

 

結局のところa(x-a)+1=|x^2 -4|の実数解を調べればよいのですが、aも綺麗に分離できない、直線の傾きとx切片が同時に変わってしまうという感じで図形的に解くことは難しいです。おまけに絶対値もあるので簡単に2次方程式に帰着させることもできません。

 

こうなると、絶対値を場合分けで外して2次方程式の解の配置を調べる、という泥臭い方法しか解法がなさそうなので、仕方なくそれを実行することになります。

 

aの値によって、|x|<2, |x|=2, |x|>2のそれぞれの領域に実数解が何個あるかを場合分けして調べていきます・・・・とにかく面倒の一言の問題です。

 

<筆者の解答>

 

第1問(情報学科)(b)

 

領域図示の問題です。

 

「どのCの内部にも含まれない点」とは、すなわち「Cの通過領域の外側にある点」という事なので、結局はCの通過領域を調べればよいことになります。

 

Aを(t, at^2)としてCの式を作り、それをtの方程式と見なしたときに実数解を持つx,yの条件を調べていきます。2次の係数の符号によって場合分けが発生することに注意です。

 

<筆者の解答>

 

第1問(理学部)

 

3,4次関数の対称性に関する問題です。

 

(1) f(x)が(p, f(p))について点対称なら、任意のtに対してf(p-t)+f(p+t)=2f(p)となることが図を描くと分かります。この恒等式が成り立つ条件を考えましょう。

 

(2)g(x)がx=pについて線対称なら、任意のtに対してg(p-t)=g(p+t)となることが図を描くと分かります。この恒等式が成り立つ条件を考えましょう。

 

<筆者の解答>

 

第1問(工学部)

 

点の軌跡を調べる問題です。

 

(1)直線CP1上の点が、z座標=0となる条件を考えます。

 

(2)P1がS上の点なので、Sの式に(1)の結果を代入することで、u,vの方程式ができます。z1を固定した状態だとQは原点中心の円を描き、z1を動かすと半径が0以上の全ての実数値を取れることが分かります。

 

(3) x1=aと固定すると、(2)同様にvがa,z1の式で表現でき、uの式を使ってz1を消去すれば、u,vの関係式が求まります。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(a)

 

絶対値付き積分について考える問題です。

 

(1) f'(x)を計算すると6(x-a)(x-a^2)と因数分解できるので、絶対値を外すにあたってはx-a^2の符号がどうなるかがカギになります。これによりaの値による場合分けが発生します。

 

(2) g(a)を微分すればよいでしょう。最小値の計算に当たってはaの次数下げを行うと楽になります。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(b)

 

大小比較の問題です。

 

結局f(x) =(2^x -2x)/(x-1)の増減が分かればよいのですが、f'(x)を計算するとlog2などが登場してかえって分かりにくくなります。

 

ここでf(x)をよく見ると、(1,2)と(x,2^x)を結んだ線分の傾きになっていると分かります。これに気付ければ、視覚的にf(x)が単調増加すると分かります。

 

<筆者の解答>

 

第2問(理学部)

 

行列の積に関する問題です。

 

(1) ここでは2項係数の拡張版のような関数が登場していますね。BA=qABとなるA,Bについて(A+B)^nを計算しよう、という問題になります。

(イ)左辺ー右辺の第1項を計算していきます。

(ロ)直接証明するのは困難なので、帰納法で証明していきます。その過程で(イ)で証明した等式が活躍します。

 

(2) 今度はBA=qABとなるA,Bの具体例を探そうという問題です。「例を挙げよ」という問題なので、1個でも例が見つかれば勝ち、見つからなければ詰みというピーキーな問題になります。

(イ)こちらは比較的簡単に見つかります。探すコツは、A,Bの成分のできるだけ多くを0にすることです。

(ロ)こちらは、残念ながら私は見つけられませんでした・・・なので考えた方針を紹介します。

 

BA=qABの両辺について行列式を考えると、q≠1なのでAとBの行列式の少なくとも一方は0にならないといけないことが分かります。ということでAの行列式が0だという前提で調べることにしました。すると、Aの成分は「2行目が1行目の定数倍

」ないし「2列目が1列目の定数倍」となります。

 

この条件下で、まずはBも行列式が0になる場合をしらみつぶしに検討しましたが、どの場合も不適となってしまいました。BA=qABとなる必要条件は「各成分の比がBAとABとで同じになる」なのでそこから攻めるのですが、すると比が揃わないか、揃ったとしてもq=1となってしまうのです。

 

ということで、Bは行列式が0でないことが必要となりましたが、今度はBの自由度が広すぎて検討の足がかりが掴めない(泥臭くやるしかない)、、、となって諦めた次第です。

 

<筆者の解答>

 

第2問(工学部)

 

3次方程式の解の配置と複素平面に関する問題です。

 

(1) (i)から、y=f(x)とy=3x-16を連立してできるxの方程式はx=3を重解を持つことが分かり、そこからb,cがaだけの式で書け、さらにもう1つの交点の情報からaの範囲も分かります。

 

(ii)から、αは実数でβとγが共役な虚数だと分かり、△ABCが正三角形になる条件からα~γがそれぞれ2つのパラメータで表現できます。

 

あとは解と係数の関係で、α~γとa~cをつないであげればよいでしょう。そのあとの連立方程式の処理が面倒ですが、aさえ求まればOKです。

 

(2)zの式は、変形すると中心がd/2,半径|d|/2の円になることが分かるので、この円と△ABCが交点を持つdの条件を調べればOKです。

 

<筆者の解答>

 

第3問(情報学科)(a)

 

無理数の累乗によって、√2の近似値を調べる問題です。

 

(1) (3+2√2)^n=(3+2√2)×(3+2√2)^(n-1)としてあげればよいでしょう。

 

(2) (1)で求めた漸化式を代入すると、an^2 -2bn^2はnによらず一定になることが分かります。

 

(3)この問題の本丸と言える問題です。このように無理数を一定の精度で有理数で近似することを「ディオファントス近似」と呼んだりします。

 

さて、(2)の情報を使ってどうやって近似を求めるか?

 

まずは(2)の式から√2をanとbnの式で表現するのが先決でしょう。すると、√2はおよそan/bnで近似できそうだと予想できます。

 

これをもとに√2とan/bnの差の絶対値をan,bnの式で不等式評価していきます。

 

あとは、この値が1/10000になるようにan,bnを調整してあげればOKです。

 

<筆者の解答>

 

第3問(情報学科)(b)

 

確率漸化式の問題です。

 

(1)pn, qn, rnの漸化式をそれぞれ作って、qn, rnを消去してあげればよいです。

 

(2) (1)の漸化式を解けばpnが得られ、同様の手順でqn, rnも求まります。

 

(3) (2)ができていれば瞬殺でしょう。

 

<筆者の解答>

 

第3問(工学部)

 

運動学の問題です。

 

t1以降の加速度がbなので、t1≦t≦t2ではv(t)=v(t1)+b(t-t1)と書くことができて、v(t2)=0という条件から、t2がt1,a,bで表現できます。さらにv(t)を0~t2で積分すれば道のりLが求まることになります。

 

(1)a=12, b=-12, L=88を代入してt1を求めることに終始します。実質3次方程式を解くことになります。

 

(2) ab=-144, v(t1)=24という条件から、Lをaだけの式で表現できます。こうなればLをaで微分すれば最小値が求まります。

 

<筆者の解答>

 

第4問(工学部)

 

確率の問題です。

 

③、⑤でそれぞれ「交換する」か「交換しないか」、さらに①であたりを引くかはずれを引くかで場合分けして確率を調べ上げていきます。

 

<筆者の解答>