このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。
5回目の今回は2003年です。
第1問(情報学科)
大小比較の問題です。
(1)差を計算しての評価でも行けるかとは思いますが、答案ではy=x^3が下に凸なグラフであることを利用して証明しています。
(2) 当然ながら(1)の結果を利用します。与式の左辺がまるまる3乗根、右辺が1+3乗根の形をしているので、(1)の両辺で3乗根をとって、左辺の中身が10に、右辺が1+(3/2)^(1/3)になるようにうまくa,bを選んであげるとよいです。
<筆者の解答>
第1問(工学部)
図形の相似を考える問題です。
(1)△OA0B0の面積と外周を考えてあげればよいです。
(2) (1)の結果から、△OA1B1と△OA0B0の相似比Rを求めてあげます。すると、lnは初項l0公比Rの等比数列になります。
(3) OAnは、OAn-1を長さをR倍し2θだけ回転したものなので、回転行列を利用するとよいでしょう。
(4) 半径もlnと同じく公比Rの等比数列になることを使って面積を計算します。
(5) 無限等比級数なので、計算は容易です。
<筆者の解答>
第2問(情報学科)(a)
2次関数が交わる条件を考える問題です。
(1)2つの放物線を連立してできるxの2次方程式が-3≦x≦3の範囲に実数解を持つa,bの条件を考えます。今回は-2≦a≦2という制限があるので、場合分けが幾分楽になっています。
(2)積分で面積を計算します。
<筆者の解答>
第2問(情報学科)(b)
大小関係を調べる問題です。
(1) f(x)=sinx/xの増減を調べればよいでしょう。微分していきましょう。
(2) 正弦定理を使ってa,b,cを角度の式に直してあげれば、(1)の不等式に帰着できます。
<筆者の解答>
第2問(工学部)
パラメータ表示された曲線に関する問題です。
(1)(2) sinθとcosθをそれぞれa,b,x,yの式で表現してθを消去すればCの式が求まります。ただし、x,yの取りうる値は忘れずに調べておきましょう。
(3)y=mxがCに接する条件を考えればよいでしょう。連立したものが重解を持つ、で攻めてもよし、Cの中心とy=mxとの距離がCの半径に等しい、で攻めてもよしです。
(4) (3)ができていれば面積は容易に求まるので、その最大値を考えます。bの関数にすると、相加相乗平均が使える形にできます。
<筆者の解答>
第3問(情報学科)(a)
不等式の証明問題です。
直接証明するのは難しいので、背理法を使います。
つまり、|sinの積|>(1/√2)^nと|cosの積|>(1/√2)^nの両方が成り立つ場合があると仮定して矛盾を導きます。sinとcosが対称的に表れているので、両辺を掛け算して2倍角を使えばいいのでは?と分かります。
<筆者の解答>
第3問(情報学科)(b)
確率の問題です。
(1)n-1回目までにAが1回出て、さらにn回目にAが出ればよいわけです。
(2)Aが勝つときは、BはBを1回以下しか出せておらず、かつAはAを1回出していて、n回目にAが出ることになります。Bが勝つときも然りです。(1)の結果も使って確率を計算しましょう。
(3) (2)ができていれば容易い極限計算です。
<筆者の解答>
第3問(工学部)
容器の体積に関する問題です。
(1)実際に状況を絵にすると、水面は半径acosθの円になっていることが分かります。
(2)残っている水の体積を積分で計算するとよいでしょう。
(3) WB(φ)を直接計算するのは(後述するように)非常に大変なのですが、φ=π/2のときは、Bが空になった状況なので、WB(π/2)はBの体積そのものです。なので、Bの体積を調べてあげればOKです。
(4)これは捨て問です。WB(φ)の式が分からないことにはどうにもならないからです。
WB(φ)を調べるには、容器Bの式をx,y,zで表現し、かつθ傾いた平面で切断しないといけません。後者の平面に垂直な平面で断面を切って断面積を計算する、という流れなのですが、式が複雑すぎて、断面積をよしんば計算できても、それをさらに積分するのは困難を極めます。
(1)(2)の発想で、水面の面積を積分するという方針をとっても、今度は水面の面積をどうやって計算するの?という話になり、詰んでしまいます。
というわけで私自身解けておりません。すみません。
<筆者の解答>
第4問(工学部)
集合の絡んだ確率の問題です。
(1)(2)こちらは、n個の点から異なる2つを選ぶ方法を考えれば事足ります。
(3)A1は、要するに△a0a1a2の3つの辺がすべて同じ色になる、ということです。それ以外の線分の色には興味がないので、これで確率が求まります。
(4)ド・モルガンの定理を利用して、余事象を利用するとよいでしょう。
(5)Bは要するに、a1~a4から作られる4つの三角形全てが、2色以上に塗られている状況です。これは、A1~A4の余事象が全て達成されている状況です。
(6)Bの余事象の確率を考えて、ド・モルガンの定理で「和集合」の形に分解していきます。これでヒントが使えることになります。
<筆者の解答>