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平成の京大理系後期数学 -1989年-

このシリーズでは、平成の京大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

最終回の今回は1989年になります。

 

第1問

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整数の証明問題です。(1)と(2)は独立した問題になっています。

 

(1)一見してm,nが偶数で、なおかつdで割り切れることが分かります。a=Ad, b=Bd (A,Bは互いに素な奇数)としたとき、11A+Bと3A+Bが16で割り切れない偶数であることと、3以上の公約数を持たないことを証明していきましょう。

 

(2)mとnが両方平方数だと仮定して、矛盾を導きます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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体積の計算問題です。

 

xy平面で回転体を切断して、放物線と円とが接する条件と、そのときの交点の座標を考えましょう。

 

それらが求まれば、積分計算で体積を求めることができます。放物線の回転体から級の部分をくり抜く、という戦略で良いです。

 

<筆者の解答>

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第3問

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面積を最大化する問題です。

 

問題文を図に落としていくと、B(a,c), C(a, -c) (a>0, c>0)とおけばいいことが分かります。求めるのは台形の面積なので、Dの座標を求めてしまえば容易に面積をaとcの式で書くことができます。

 

BDの条件からaとcの関係式が求まるので、1文字消去で増減を考えることができます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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1次変換の問題です。

 

P(cosθ, sinθ)とおいてQの座標を計算し、△PQRの面積をθの式で書いてしまえば、あっさり終わってしまいます。

 

<筆者の解答>

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第5問

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確率の問題です。

 

Aがk点取る確率と、Bがl点取る確率を計算することで、pをシグマ計算で求めることができます。

qを求める際は、比較的計算しやすい引き分けになる確率rを先に計算しておくと、q=1-p-rで求めることができます。

 

pとqの大小比較は引き算で良いでしょう。

 

<筆者の解答>

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第6問

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関数列、およびそれに関する極限を考察する問題です。

 

(1) f2, f3を調べてみるとfnの形の予想ができるので、数学的帰納法でそれを証明します。そこに公比aの等比数列の和が登場するので、a=1の場合だけ例外扱いをする必要があることに要注意です。

 

(2) こちらもa=1の場合だけ例外扱いして考えます。

a≠1の場合は、fn(c)が0に収束してしまう原因が分母のa^nにあるので、それを消すようにbnを作ればいいと分かります。

a=1の場合は、fn(c)が「定数/nの1次式」になっているがゆえに0に収束してしまうので、分子が1次式で揃うようにbnを作ればよいと分かります。

 

<筆者の解答>

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