ちょぴん先生の数学部屋

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平成の京府医大数学 -2015年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

8回目の今回は2015年です。

第1問

 

無限級数の導出問題です。今回のセットの中では比較的おとなしい問題なので、簡単ではないですが、この問題だけでも完答したいところです。

 

(1)素直にfn'(x)を計算すればよいです。

 

(2) (1)の結果を使うと、部分積分積分を計算できることになります。漸化式を求めるとfn(0)が出現しますが、この値がnの偶奇によって形が変わるので、場合分けが生じます。

 

(3)一見して数学的帰納法なのかな?と思ってやってみるものの、帰納法ではどうもうまく証明できません。ここは方針を変えます。

 

Inの式で、中のfn(x)を一旦無視して(1-x)^(n-1)の部分だけ積分してみると、1/nとなります。これと与式を見比べてみると、0≦x≦1で0≦fn(x)≦2になっていればよいことが分かるので、これを証明していきます。

 

(4) (3)の結果からIn→0 (n→∞)が分かり、nが奇数の場合のInの漸化式を使うことで、I1が求める無限級数の値になることが分かります。

 

この結果は、y=log(1+x)のテイラー展開を使っても導出することができます。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

円錐とそれに内接する球で挟まれた領域について考える問題です。

 

(1)Rは展開図で、側面の円弧の長さ=底面の円周、から求められます。rについては、Cの頂点と底面中心を通る平面で切ることで求めることができます。

 

(2) Aは、円錐から球の一部を除いたものになるので、それぞれの体積を計算することにします。(1)で考えた断面や積分を使っていきますが、かなり計算が煩雑です。

 

(3) Aの側面積は、Cの側面積から相似の関係で簡単に計算できます。こうしてV/Sを計算するとルートが入っているので、全体を2乗してから微分して増減を調べます。これまた結構計算が煩雑です。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

絶対値の絡んだ関数のグラフと、それに含まれる三角形の面積を考える問題です。

 

(1)まずはg(x)を分かりやすくしないことには始まりません。|x|の値で場合分けして絶対値を外していきましょう。そうしていくと、f(x)はかなりシンプルな式になります。

 

(2)(3)

A(a, f(a) ), B(b,0), C(c,0) (b<c)とおいて、題意を満たす三角形の面積を考えていきます。

高さはAのy座標f(a)で決まりなので、Cがどこまで右に行けるか、Bがどこまで左に行けるかを、Aの位置で場合分けして調べていきます。対称性からa≧0だけ考えればOKです。

 

cの上限は直線ACがy=1/xと接するときと分かりやすいですが、bの下限はAの位置によって状況が色々変わってきます。

 

やること自体は単純なのですが、とにかく場合分けの数が多いため時間がかかりますね。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

確率の問題で、試験場では(1)だけ解いて捨てるのが得策だったと思います。

 

(1) 1から10までの数の合計は55で、奇数です。なので、もし選ばれた数の合計が偶数になるなら、余った2枚の合計は奇数になるはずで、そのときその2枚の偶奇は異なっています。

 

つまり、この問題は「10枚から2枚を引いたとき、偶奇が異なっている確率」と言い換えることができます。

 

(2)~(4)は捨て問だと思います。

立方体の各頂点の「偶奇」の配列をMECEに(過不足なく)数えた上で、条件に見合うカードの選ばれ方を数えていくという流れですが、立方体は対称性が非常に高い立体なので、配列を調べるときに過不足が発生しやすく、MECEに数えること自体が容易ではありません。(答案では一応MECEになっているはずですが、見落としや重複がひょっとしたらあるかもしれません。

 

(2) 偶数の面が3つになるのは、偶数のカードも奇数のカードも両方奇数枚引かれる場合です。このとき8つの頂点の合計が奇数になり、ちょうど(1)と逆の状況になります。

 

(3)(4)

各場合について、場合の数を調べていきますが、その基本は

(偶数にするパターンが何通りあるか?)×(偶数4枚の選び方)×(奇数4枚の選び方)となります。

 

この「選び方」についてですが、今回の場合は順番まで考慮しないといけないので、CではなくPを使うことに要注意です(Pの計算、かなり久々にやった気がします)。

 

<筆者の解答>