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平成の京府医大数学 -2014年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

9回目の今回は2014年です。

第1問

 

指数に関する大小関係を調べる問題です。

 

(1) a^b=b^aを同値変形すると、loga/a=logb/bとなるので、f(x)=logx/xとすると、aとbはf(x)=f(a)の2つの実数解になります。なので、y=f(x)のグラフの形状を調べることがメインテーマとなります。

 

(2) (√5)^(√7)と(√7)^(√5)の大小関係は、f(√5)とf(√7)の大小関係と一致します。ということで、y=f(x)のグラフから考えると、√5, √7、eの大小関係を調べればよさそうです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

正四面体とその1辺と平行な平面による断面に関する問題です。

 

(1)あまりに当たり前の内容なのですが、それが故にどう証明すべきか却って迷ってしまいそうになります。答案では、背理法を採用しました。

 

もしBDとPSが平行でないとすると、Hと直線BDが交点を持ってしまうのですが、これは「Hと直線BDが平行」という設定と矛盾してしまいます。そもそも、「平行」というのは、「直線や平面を無限に広げても交点を持たない」というのが定義です。

 

(2)「2つの三角形が合同であることを証明する」という中学以来の懐かしい問題です。

(1)の結果を生かしつつ、「2つの辺の長さと、挟まれた確度の大きさが等しい」という合同条件を示していきます。

 

(3) (2)の結果から、PQRSは等脚台形となります。なので、台形の高さを計算できればOKです。

 

(4) S(a)の式で、aが絡むものを全てルートの中に押し込んでから、ルートの中だけで増減を調べると考えやすいです。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

対数関数と接する円に関する問題です。

 

(1)これは教科書レベルです。f'(x)とf''(x)を調べればOKです。

 

(2)変曲点がy軸対称に存在しているので、Cの中心がy軸上にあることは明らかでCの式はx^2+(y-c)^2=r^2と書けます。あとは、これが変曲点を通り、かつ変曲点でのDの接線と接するようにc,rを決めていくのですが、cの値は図形的に考えた方がすぐに求まります。

 

(3)CとDの交点を全て求めればよいのですが、logのままだと扱いづらいのでxを消去ししてyの方程式に直すと見た目が綺麗になります。

 

あとはyの方程式の左辺をyの関数と見なして増減を調べていけばよいです。

 

(4)定石通り積分で面積を調べていきますが、円が絡む部分は別に図形的に計算すると速いです。logの絡む積分は部分積分でlogを解消するのが基本です。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

x^3+y^3=26の有理数解に関する問題で、この年のセットの中ではこの問題だけが突出して難しい問題です(むしろ第3問までは京府医にしてはかなり大人しめの問題です)。

 

(1)この問題は計算が煩雑で難しいです。

まずh(x)の式をみると、26,52といった26の倍数が登場しています。ここを26=a^3+b^3と置き換えてあげるとスッキリします。

 

与式がh(a)とh(b)の対称式になっているので、h(a)+h(b)とh(a)×h(b)を計算して・・・とやったのですが、結果論{ h(a) }^3+{ h(b) }^3を直接計算しても正味計算量は変わんないです。

 

どちらの方法でやるにせよ、結果の先読みがないと因数分解をするのが非常に困難な式です。

 

(2)以降の流れから「ひょっとして答えは26になるんじゃね?」と感が働けばよいのですが、思いつかなかった場合は地獄です。

結果が26、つまりa^3+b^3になるんじゃないか、と予想できれば、そこから逆算して因数分解の式が想像できます。その予想と展開式が一致してるかどうかを確かめていきます。結論として、この予想は見事的中します。

 

それにしても、よくこんなh(x)を思いついたものです。大学の数学科で「整数論」や「楕円関数」などを研究すると簡単に出てくる式なんですかね?

 

(2) h(p/q)をとりあえず計算すると分数の式ができますが、まだこの分数が「既約分数か否か」が確定できません。pが奇数であることと、pとqが互いに素なことを利用して、分母と分子の最大公約数を調べていきます。すると、pが13の倍数かそうでないかで場合分けが発生します。

 

既約分数にできたら、その分子がp'で分母がq’となり、お目当てのものが証明できます。

 

(3)問題文の中で、(-1,3)がC上の有理点だと明かされています。分子が両方とも奇数なので、(2)の結果から、有理数にhをかますと分母が必ず大きくなるので、( h(-1), h(3) )は(-1,3)とは違う点になります。さらに、(1)の結果から( h(-1), h(3) )がC上にあることが保証されています。

 

同じロジックを繰り返して考えていくと、

(a0,b0)=(-1,3), (an, bn) = ( h(an-1), h(bn-1) )のように(an, bn)を決めてあげると、この点たちは全部C上にあり、かつ全部異なる点になって、しかも両方の座標は当然有理数です。

 

これでC上の有理点がこの漸化式によって無限に作れることが分かりますね。

 

(3)の問題文を見た時点でこの展開が予想できたので、(1)の予測ができた、というわけです。

 

<筆者の解答>

 

(1)の別解