このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。
初回の今回は2019年になります。
第1問
整数問題の小問集合です。
(1)これは有名な事実ですね。x=p/q (q≧1, pとqは互いに素)とおいて、q=1でないといけないことを背理法で示しましょう。
(2) こちらも与式が有理数だと仮定して矛盾を導きます。√(n+1) - √nが与式の逆数であることに注意すれば、与式が有理数だと仮定すると√nと√(n+1)が同時に有理数でないといけないことになります。
答案では、「√nはnが平方数でなければ無理数である」を自明のものとして証明を行っています。
<筆者の解答>
第2問
4次関数の接線に関する問題です。
(1)x=tでの接線の式を考えて、t=0での式とt=2での式が一致するようにf(x)を決めていきます。
(2) f'(t)がt=0,2のときと同じ値になるようなtを新しく求めてあげればOKです。
(3)l'とCの交点をα,βとおいて積分計算を進めます。解と係数の関係でα+β, αβを調べておかないと計算地獄に陥ります。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題で、手を動かして実験してみないと先が見通せない問題です。
表が出続ける限りは1が足されていくので整数であり続けますが、一度裏が出てしまうと高確率で分数になってしまい、その後表が出ても裏が出ても整数には復帰できないことが分かりますので、裏が出るのはレアケースだ、という思考で考えていくとよいです。
(1)a1=1の場合は、実験すると裏が出ていい回数が1回までだと分かります。
(2)a1=3の場合は、さらに裏が出る場所が1回目か2回目の1階だけでないといけないと分かります。
<筆者の解答>
第4問
要素の個数を数える問題です。
AとBは相反することを言っているため共通点がなく、かつAとBでSを網羅できていることが分かります。なので、比較的調べやすいSとAの要素数を調べることで、Bの要素数を計算する、という方針で進めます。
(1)Sの要素数を最初に調べておきます。このとき、y=kとy座標を固定したときのxの個数を調べると見通しがよくなります。
与式が常に偶数になる条件は、nが偶数の時は当たり前なのでnが奇数の時だけ調べればよく、そうするとbが偶数の時だと分かります。これによって、Sの要素を調べた知見からAの要素数が求まります。
(2) Bの要素数は、上記からS-Aで求まります。
<筆者の解答>
第5問(a) ※数Ⅲ必須
第5問は選択問題になっていて、こちらは面積を計算する問題です。
tを消去してあげると、Pが双曲線を描くことが分かるので、面積を求める領域は容易に図示できます。
あとは、図形も使いながら積分計算を実行するのみです。
<筆者の解答>
第5問(b)
第5問のもう1つは数列の問題です。かなり変わった漸化式をしています。
(1)与えられた漸化式を利用することで求まります。
(2)こちらも漸化式を使うことで番号を小さくできるので、bmの漸化式を作ることができます。
<筆者の解答>