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平成の京大理系後期数学 -1999年-

このシリーズでは、平成の京大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

8回目の今回は1999年になります。

 

第1問

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放物線と直線で囲まれる面積について考察する問題です。

 

まずは、y=x|x+2|のグラフと直線y=mxが3点で交わるmの条件を調べます。グラフを使って視覚的に調べてもよいですが、普通に方程式x|x+2|=mxを処理した方が誤りがないでしょう。

 

実際に図を描いてみると、m<2とm>2でS1とS2の形状が大きく変化することが分かるので、場合分けしてそれぞれに対し問題文の条件を満たすmがあるかを調べていきましょう。

 

積分計算が面倒ですが、代入すると0になる部分が出現するように調整するなどして、できる限り計算ミスをしないように慎重に進めましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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三角関数の最大化を考える問題で、結構頻繁に出題されるテーマです。

 

α+β+γ=πを利用すれば式からγを消すことができます。その上で予選決勝法を使うのですが、

1. αとβの対称性に注目して、α+β=X, α-β=Yと変数変換してから予選決勝法を使う方法

2. α,βのまま予選決勝法を使う方法

の2通りがあります。

 

どちらも難易度に大差はないですが、1の方が微分する回数が減るので若干楽かもしれません。

 

<筆者の解答>

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第3問

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漸化式に関する問題です。

 

(1)漸化式にひたすら代入するだけです。an, bnがどういう性質を持っているかを実験させる問題と言えます。

 

(2) (1)の結果から、nが奇数の時はan=bn, nが偶数の時はan=-bnだと予想できるので、それを帰納法で証明していきます。その過程で(2)の答えは自ずと求まります。

 

<筆者の解答>

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第4問

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いわゆる「等面四面体」の存在を証明する問題です。

 

「等面四面体」は、直方体から切り出すことで作ることができます。あとは四面体と直方体の辺の長さを文字でおいて、四面体の各面が「鋭角三角形」であること、△ABCの辺の長さがどうであろうと、直方体を構成できることを説明すればOKです。

 

<筆者の解答>

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第5問

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2次方程式の解に絡めた整数問題です。かなり細かな議論が必要な難問です。

 

大きくv=0の状況とv≠0の状況に分けることができます。

 

v=0のときは、2次の係数が1の整数係数の2次方程式が有理数解x=uを持つことになります。u=p/q (p.qは互いに素、q≧1)としたとき、q≧2だと矛盾が起こることを説明すればよいでしょう。

 

v≠0の時は、解と係数の関係からu=-a/2が分かります。この式の形から、aが奇数なのか偶数なのかで場合分けが発生します。

 

aが偶数の時は、3v^2が整数になると分かりますので、vが整数じゃない有理数の時に3v^2が整数にならないことを証明します。

 

aが奇数の時は、vが有理数だと仮定すると矛盾が起こることを証明するのですが、各文字の偶奇のチェックがなかなか大変です。

 

<筆者の解答>

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第6問

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体積が絡んだ極限の計算問題です。例によって(1)が(2)のヒントになっています。

 

(1) 問題文を読んだ瞬間に「平均値の定理」が連想できます。f(x)の原始関数をF(x)として、F(x)に対して平均値の定理を適用すると証明できます。

 

(2)まずは回転体の体積を求めるのが先決なので、積分計算してしまいましょう。

その上で、それをn等分した体積と、ynとの関係式を積分を使って書いてあげます。

 

求めたい極限の式に1-ynが含まれていて、積分区間もyn~1となっています。

 

ということで、ここで(1)の結果を使えばいいのでは?と思いついてほしい所です。

 

(1)を使うと、積分を、中身の関数で表現することができて、n→∞とすると、x=1での値を考えればよいと分かります。

 

<筆者の解答>

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