ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東大理系後期数学 -1999年-

このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

9回目の今回は1999年です。

 

第1問

 

積分の計算問題です。

 

(1)x→0でのfn(x)の極限をcnとしてしまえばOKです。

 

(2) sin3x=3sinx-4(sinx)^3となるので、f3(x)はcos2xの式に書き直すことができます。

 

(3) f2n+1(x)の漸化式を作って、積分値の漸化式を作ってしまえばよいです。今回の場合は、積分値がnによらず一定値になることが分かります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

点列を構成する問題です。

 

(1)問題文の定義に従って方程式を解いて、長さを計算するほかないでしょう。

 

(2) s=tanα, t=tanβと書けるので、加法定理によってs,tをu,vの分数式で書くことができます。この時に(1)で求めたQ(s)Q(t)がu,vの分数式で書けることがわかるので、u,vが有理数ならQ(s)Q(t)も有理数になります。

 

(3) なかなか抽象的でとりとめのない問題設定です。が、(2)までの考察をヒントにして考えていくことができます。

 

(2)までの設定で、直線の傾きが0<s1<s2<・・<sk<・・<snとなるようにQ(sk)を設定してあげると、Q(sk)は「全部座標が有理数」「どの3点も同一直線状にない(同一円周上にあるので)」「どの2点間の距離も有理数」の3つを全部クリアできていることが、(2)から保証されています。

 

あとは、「有理数」の部分を「整数」に変えても状況が成り立つのかを考察してあげます。

 

uk=ak/bk (ak,bkは整数)としてあげると、Q(sk)の座標の分母は(ak^2+bk^2)^2となっていて、Q(si)Q(sj)の分母は(ai^2+bi^2)(aj^2+bj^2)とかけ、分子はいずれも整数にできます。

 

ということは、(2)までで考えた図形を全部、これらの分母の公倍数倍してあげると、座標値も長さも全て整数にできることになります。

 

これで(C1), (C2), (C3)を全て満たすA1, ・・・,Anが構成できました。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

相似な四角形を次々と螺旋状に配置していく問題です。この問題はnを負の整数まで定義した巻き戻しがあるのも特徴ですね。

 

(1)ベクトルの内積から容易に求まります。この結果45°が(2)以降を考えていくカギになっていきます。

 

(2) C0(t,3t)と置いたときにまずはD0の座標をtの式で求めます。すると問題文のルールからKn→Kn+1の相似比rがtの式で書けることになります。ここまでの情報は(3)でも使います。

 

ここで、Kn=K0となるには、少なくともKnとK0は合同でないといけません。合同と言うことは相似比rが1であればいいわけです。よってr=1が必要条件です。

 

この時にちゃんとKnとK0が重なりうるのかを確かめると、(1)で∠B0OC0=45°となることが分かっているので8回操作をするとちゃんと元の位置に帰ってくることが分かります。

 

(3) Knが座標平面を隙間なく重なりなく敷き詰めるとき、(2)での考察を参考にすると、K8がK0の外隣、ないし内隣になっていればOKだと分かります。なので、そうなるような相似比rを調べればC0の座標が分かります。

 

また、B8mは全て直線OB0上にありmの式で座標を表現でき、(100, 50)も同じ直線上にあります。なので、この点がB8mとB8m+8の間になるようなmを求めてあげればよいことになります。Bnの進んでいく方向に要注意です。

 

<筆者の解答>