ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -1998年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

28回目の今回は1998年になります。

(問題未入手だった分の補充です。問題を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます)

第1問

対数に関する、無理性の証明問題です。

 

(1)有理数だと仮定して矛盾を導く背理法でよいでしょう。

 

(2)logrが有理数a/b (a,bは互いに素な整数でbは正)になるとすると、r=10^(a/b)と書けることが分かります。この時に、b≧2だとrが無理数になってしまうことを示せばよさそうです。

a=0のときはr=1で有理数になるのは自明、a<0のときは分母に持ってくることでa>0の場合に帰着できるので、a>0の場合だけ考えれば十分です。

 

r=m/n (m,nは互いに素な自然数)と書けるとき、m^b =n^b×10^aとなるので、左辺と右辺とで含まれる素因数を比較してあげましょう。

 

すると、mとnが互いに素なので、n=1かつmは2と5のみからなる整数に絞れます。このとき両辺で2と5の個数を比較するとaがbの倍数になることが分かるので、b=1でないと「aとbが互いに素」という条件に反します。

 

ちょっと着想が難しい問題でしたね。。。

 

(3) (2)の結果から、1+3+・・・+3^nが10の累乗にならないことを示せばよさそうです。

もし10の累乗になるのだとすると、3^(n+1)=2×10^q +1となりますが、左辺は9で割り切れるのに右辺は9で割り切れないという矛盾が発生します。

 

<筆者の解答>

 

第2問

三角関数連立方程式を解く問題です。

 

まずは、それぞれの式を簡単にしていくことを考えます。方程式を解くに当たっては積の形=0とするのが好ましいので、左辺ー右辺=0として和積の公式を使って因数分解するのがよいでしょう。

すると、両方ともα+βとβ-αの値を規定する条件に書き換わります。

 

あとは、両者が同時に成立するように条件をかけ合わせていけばよいです。両方の条件で、α+βとβ-αの値にダブりがないので、cos出身のα+βとsin出身のβ-αの掛け合わせ、sin出身のα+βとcos出身のβ-αの掛け合わせ、の2パターンを考えればよいことになります。

 

普段ラジアンでの計算に慣れているので、地味に度数法に直すのが面倒でした。。。

 

<筆者の解答>

 

第3問

放物線に関する線分の問題です。

 

(1) P(p, p^2), Q(q, q^2)と座標を設定すると、内積からpq=-1が分かります。これを考慮しつつ直線PQの式を計算しましょう。

 

(2)PとQは対称な関係なので、p>qとしても一般性を失いません。そうするとpの取りうる値はp>0となるので、その下でPQの長さLをpの式で表現していきます。

 

すると、Lはp+1/pの式で整理でき、幸いにしてp+1/pについて単調増加な式になります。なので、あとはp+1/pの最小値を考えればよくなり、これは相加相乗平均で一発ですね。

 

<筆者の解答>

 

第4問

平行移動した3次関数のグラフで囲まれる面積に関する問題です。

 

(1)C2の式はy=(x-a)^3 -(x-a)となるので、これとC1を連立すればよいでしょう。

 

(2)交点のx座標をα,β (α≦β)として、定型通りの積分計算を行います。1/6公式を使いつつ、解と係数の関係を使ってaの式にしていきましょう。

 

(3)数ⅢありならSを直接aで微分できますが、数Ⅲなしならば、数Ⅱまでで微分ができる多項式の部分にだけ注目して微分していきます。

答案では、計算を楽にするために数Ⅲの「積の微分」を使ってますが、展開して微分しても同じ結果が得られます。

 

<筆者の解答>

 

第5問

確率の問題です。

 

(1)何ゲーム行うかで場合分けして確率計算していきます。

 

(2) 途中でどちらかが2勝先攻してはいけないので、勝ち方の条件をシビアに調べる必要があります。

そのために、最初原点にいて、Aが勝つとx方向に+1, Bが勝つとy方向に+1動くような点Pを考えてあげて、どうPが動けばちょうど2k回目にAが勝てるか、経路を考えていくと見通しが良くなります。

 

こうして、ちょうど2k回目でAが優勝する確率が求まったら和を取ればqnとなります。

 

(3) qnは等比数列を含んでいて、単調増加する形になっています。なので、pとqnの大小関係がどこかで逆転することが予想できます。

具体的にnに数を代入して、大小関係がどこで切り替わるかを調べていきましょう。そのさい、大小関係を調べやすい形にできる限り的を絞っていきます。

 

<筆者の解答>