ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -1999年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

27回目の今回は1999年になります。

(問題未入手だった分の補充です。問題を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます)

第1問

多項式の割り算を考える問題です。

 

当然ながら、因数定理を使って解いていきます。2次式で割っているので余りは1次式以下になることに注意です。

 

(1) 割る式を見た瞬間「1の3乗根の内虚数の物ω」が思い浮かびたい所です。ωは、ω^3=1およびω^2 +ω+1=0を満たすので、これを利用していきますが、nを3で割った余りによる場合分けが発生します。

 

(2) こちらは同様に「-1の3乗根の内虚数の物α」を利用します。αは6乗して初めて1になるので、今回はnの場合分けの仕方は「6で割った余り」となります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

接線のなす角について考える問題です。

 

y=ax^2+bx+cが(-1,1), (2,4)を通る条件から、まずはbとcがaの式で求まります。その状態で、接線の傾きをaの式で求めてあげます。

 

あとは、tanの加法定理を使えばよいですが、傾きの大小関係による場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

 

第3問

3次関数の法線に関する問題です。

 

Pの座標を(p, -p+3)とすると、Pが第1象限にあるという条件から0≦p≦3となります。

(※第1象限に座標軸そのものを含めるかが解釈の分かれ所ですが、答案では、全て軸も含むと解釈して解いています。もし軸を含めないなら0<p<3となり、(1)と(2)の右側の不等号から等号を外せばよいだけです)

 

問題文の情報から、a,bがpの式で書けるので、このpの範囲でpを動かした時にa,bの取りうる値を調べればOKということになります。

 

(1)aをpの式で表すと分数関数になります。数Ⅲを使ってよいなら、直接aをpで微分することで容易に増減を調べられます。

 

もし数Ⅲを使わないならば、a,pの関係式をpの2次方程式と見なして、この方程式が0以上3以下の実数解を持つようなaの条件を調べる、という解法があります。

 

(2)bはpの3次式なので、こちらは解法はpで微分して増減を調べる、の一択ですね。

 

<筆者の解答>

 

第4問

場合の数の問題です。

 

(1)末尾がaになるもの、bになるもの、cになるもの、に分けて、それぞれに1文字追加することを考えることによって漸化式を作ることができます。

 

(2)この変換によってynは等比数列にできます。

 

(3) (2)の結果から、xn+1 +xn =等比数列 の形になります。この手の漸化式は、全体を等比数列で割るというのが定石解法です。

 

なお、(2)の誘導がなくとも、(1)の結果自体が3項間漸化式なので、特性方程式を活用することで解けてしまいますね。

 

<筆者の解答>

 

第5問

確率の問題です。

 

(1)4以下の数を2個、6以上n以下の数を3個選ぶ確率を考えればよいわけです。この状況が成立するためにはn≧8でないといけないので、n=6,7の場合は確率0となります。

 

(2)pnが積の要素だけでできているので、pn+1との比を取ってそれと1との大小関係を調べる、というのが定石ですね。

 

<筆者の解答>