私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。
今回は1997年の問題を解いていきます。
第1問
3項間漸化式の解に関する、極限の問題です。
(1)通常通りの3項間漸化式なので、特性方程式を解くことで等比数列の形に帰着させていきます。A,Bを求めるだけなら特性方程式を解くだけでよいですが。
(2)xが負の場合が直感に反するので、定義に帰って(つまりその都度kを調べて)小数部分を計算するのが無難ですね。
(3) -1<A<0となることと、xnが整数になることを利用して、各小数部分をnの式で求めてあげればOKです。
<筆者の解答>
第2問
外サイクロイドに関する問題です。
(1)Sの中心をO'としたときに∠RO'Q=Φと定義すると、この長さの関係からθとΦの関係が求まります。これを利用して、回転行列を使いつつQの座標を計算していきます。
(2)ここでいう「まわる」は、Cの周りの「公転」のことを意味し、S自身の「自転」ではないことに注意です。
まずはSがCの周りをk回まわったときのQの座標を求めます(θ=2πkとすればよい)。このときにQの座標がPと一致するようなkの最小値を調べてあげましょう。
(3) θを0から2πmまで動かした時の長さを考えてあげればよいですね。積分を計算していくと、|sint|の0からnπまでの積分が登場しますが、これはy=|sint|のグラフを考えてあげれば、sintの0からπまでの積分をn倍したものだと分かります。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題です。
(1)各推移の仕方を考えて確率計算していきます。
(2)(3)はまとめて解いてしまいます。(もちろん(2)は、具体的な推移を考えることで直接計算可能です)
明らかに漸化式を使って解きそうなので、数列を準備しましょう。
m回後に状態0になる確率をP(m), 状態1になる確率をQ(m), 状態2になる確率をR(m)として、漸化式を立てていきます。
最初にR(m)の一般項が、次にQ(m)が求まり、最後にP(m)が求まっていきます。
R(m)はシンプルな等比数列であり、Q(m)は定数項が等比数列となるので、その等比数列で全体を割ることで解けるタイプの漸化式となります。
(4)(5)
mの期待値を計算する問題ですね。
等差数列×等比数列のタイプの級数なので、「公比をかけて差し引きする」という方法がテンプレですが、答案にある通りの「微分を使う」解法の方が速く導出できます。
ちなみに期待値Mは、pについて単調増加し、p=1(必ず表が出る)のときはM=1、p=0(必ず裏が出る)のときはM=∞となるので、妥当な性質を持っていると分かります。
<筆者の解答>
第4問
積分方程式を解く問題です。
(1)cosを加法定理で分解することで、xを積分の外に出すことができます。
(2) (1)で求まったf(x)の形をA,Bの式に代入して積分計算すればよいです。
(3)右辺が0となるように移行してあげたときの(X,Y)にかかっている係数行列が、もし逆行列を持っているとすると(X,Y)は(0,0)以外存在しなくなってしまいます。なので、求める条件は、この行列が逆行列を持たない、つまり行列式=0です。
(4) (3)で調べた条件からlの値を求めていきます。
(5) (4)で求まった各lについて、元の連立方程式に戻ってA,Bの条件を調べてあげればよいです。
<筆者の解答>