私大文系入試で最高難易度と呼び声の高い、早稲田大学商学部の数学の問題を解いていきます。
4回目の今回は2019年です。
第1問(1)
三角関数の最小値を求める問題です。
よく見るとsinβの入ってる項が2つあるので、括ることで(αの関数)sinβ+4cosβとなって、αを固定すればβについて合成できそうです。まずはこれを利用してαを固定したときの最小値を求めてあげます。
そうすると、最小値がαの三角関数の式で書けているので、今度はαを動かしていくことで全体の最小値が求まることになります。要するに、やっていることは「予選決勝法」です。
<筆者の解答>
第1問(2)
合成関数を含んだ方程式の解の個数に関する問題です。
f( f(x) )=xを実際に代入して書き下して出来る4次方程式について考えるのですが、そのまま微分して増減を調べるのは難しそうです(微分してできる3次方程式が綺麗に解けないので)。
ここでひらめきが必要なのですが、f( f(x) )=xは、f(x)=xが成り立っていれば確実に成り立つことに気が付いたでしょうか?言い換えると、4次関数f( f(x) )-xは、2次関数f(x)-xで割り切れることになります。正直これに気づけないとこの問題は捨てざるを得ないと思います(さもなくば、数Ⅲ知識の動員を余儀なくされます)。
この割り算をすることで、2本の2次方程式x^2-x+a=0, x^2+x+a+1=0に分解して考えることができるので、それぞれの解の個数を調べていきます。ただし、両者が共通の解をもつ場合があることに要注意です。
<筆者の解答>
第1問(3)
微分方程式の問題です。
Pの次数が指定されておらず、(ii)から次数も絞り込むこともできないので、かなり難しい問題と言えます。
となると、積分のままにしておく意味がほとんどないので、P(x)の原始関数をQ(x)として、Q(x)の情報を集めてから、それを微分することでP(x)をゲットする方針で攻めることにします。
(ii)をQ(x)の式に置き換えてあげるとxの恒等式ができて、x=1,2を代入することで、Q(1)=Q(2)が分かります。この値をqとすると、この情報からQ(x)=(x-1)(x-2)R(x)+q (Rは多項式)と書けることが分かります。
この式を(ii)に代入すると、R(x)=R(x+1)が恒等式として成立することが分かります。
この式は、R(x)が周期関数だと主張しているのですが、周期関数になるような多項式なんて、普通は存在しません。
唯一の抜け道は、「R(x)が常に一定値をとる=R(x)が定数関数である」です。
ということで、R(x)が定数だと分かったので、Q(x)=r(x-1)(x-2)+qの形で書けることまで分かりました。
あとは、これを微分してP(x)の形を調べて、(i)からrを確定させれば終了です。
<筆者の解答>
第1問(4)
ルートの入った累乗の「整数部分」についての問題です。この問題を誘導一切なしで出題するのか・・・東大(2003年)ですら誘導付きだったのに。
この手の問題は、α=5+2√5, β=5-2√5としたときに、α^m + β^mが整数になり、かつ、0<β^m<1となることを使うのが、定石となっています。
α^m + β^mの漸化式を立てて考察すると、m≧3ではα^m + β^mの下2ケタが50になることが示せます。
そこから、α^mの整数部分の下2ケタが49になると分かるわけです。
<筆者の解答>
第2問
曲線上の点の最短距離を考える問題です。
(1) QRが最小となるのは、Rと円の中心を結んだ線分がy=x-4と垂直になるときです。
(2)いわゆる「折れ線の長さの最小化」の問題です。折れ線と言えば、「直線と対称な点を考える」でした。
この問題の場合は、Qとy=x-4について対称な点をQ'とすると、PR+QRは、「Rが線分PQ'上にある」とき最小になります。
Q'は、元の円と対称な円(x-5)^2 + (y+1)^2 =1上にあるので、(5+cosθ, -1+sinθ)とパラメータ表示でき、Pは(t, t^2)とパラメータ表示できます。よって、tとθを固定したときのPR+QRの最小値は、このPQ'の長さとなるわけです。
あとはtとθを動かして、この最小値をさらに最小化していきます。θの方を先に動かしていくと考えやすくなります。
<筆者の解答>
第3問
5で割った余りに着目した特殊な数列に関する問題です。
(1) (ii)にn=4を代入してあげれば容易に求まります。
(2)こちらは難問です。a1でなくa2019の値が分かっているという捻くれた問題ですね。
(ii)から、anを5で割った余りは、nを5で割った余りで綺麗に分類できることが分かり、特にnが5の倍数のとき、anも5の倍数となることが分かります。
ここで今まで使わなかった(i)にご登場願います。上記の分類から、anの項の間がどの程度離れていないといけないかが計算でき、結果a5kとa5k+5の間は15以上離れていることが分かります。
このことから、a5k≧a0+15kと評価することができて、その結果a2019がいくつ以上じゃないといけないかが分かります。
ここで(iii)の値の真価が発揮され、(iii)となるためには、上記の不等式評価が全て「等号成立」してないといけないとわかります。
ここまで調べられればan=2021となるnも調べることができます。
<筆者の解答>