このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。
16回目の今回は2007年です。
(手書きでの問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)
第1問
立方体と球の共通部分の体積に関する問題で、本セット最易問なので本番では確実に解き切りたいです。
Aが原点、立方体の各辺が軸平行になるように座標を設定しておくと見通しが良いです。
(1)r≦1のときは球の1/8が立方体の中に綺麗に収まるのでV(r)の計算は容易です。1≦r≦√2のときは、立方体の3つの面から同じ分だけ球がはみ出すので、このはみ出した部分の体積を計算してあげるとよいでしょう。
(2) V(r)/r^2が最大値を取りうるのは1≦r≦√2のときなので、微分して増減を調べればよいです。
<筆者の解答>
第2問
3次関数と円が接する条件を考える問題です。典型問題と思いきや、意外と難所が多い問題です。
(t, t^3)でC1とC2が接する条件は、「(t,t^3)がC1上にある」「x=tでのC1とC2の接線の傾きが等しい」の2つです。この2つの方程式を同時に満たすtがαとβの2つだけある、というのが本問の状況となります。(Aのx座標がα、Bのx座標がβです)
C1の式がx^2+(y-c)^2=r^2だとして以後考えていきます。
(1)この問題は、実は背理法を使って証明する問題です。つまりαとβの両方が0でないと仮定したときに矛盾が起こることを示します。
この仮定の下では、cを消去することでr^2=(tの関数)とできます。この方程式の実数解がαとβの2つしかないことになります。そのようなrの値を調べるとαとβが具体的に求まりますが、αを代入したときとβを代入したときとでcの値が違ってしまうことが分かります。これで矛盾が示せました。
(2)αとβの一方が0だと分かったので、ここから|c|=rが分かります。あとはc=rとc=-rの各場合でαの値を調べていきます(β=0としています)。
<筆者の解答>
第3問
正2n角形の頂点に関する1次変換に関する問題です。
問題文を満たす頂点の座標は、Pk=(coskθ, sinkθ) (但しθ=π/nで、kは0≦k≦2n-1となる整数)と書けることがポイントです。
(1)問題文の条件を連立してあげるとfが求まります。
(2)Q0=(cosmθ, sinmθ) (m: 0≦m≦2n-1となる整数)と書くことができます。ここで、与式を考えると、Q1はQ0の左隣にあるか右隣りにあるかの2択なので、Q1=(cos(m+1)θ, sin(m+1)θ)かQ1=(cos(m-1)θ, sin(m-1)θ)の2パターンが考えられます。
このそれぞれに対してfを計算して、Pkにfを作用させてあげましょう。
結論としては、前者の場合は「原点回りにmθ回転させる1次変換」、後者の場合は「直線y=xtan(mθ/2)に関する対称移動をさせる1次変換」となります。
(3)こちらについても、(2)で考えた2パターンそれぞれで場合分けして考えます。
mの値に応じてkが何個求まるかを調べていくことになります。
<筆者の解答>
第4問
極限の計算問題です。
(1)fn(x)を2回微分することで、sinxnがnの式で求まります。そうすればネイピア数eを使って極限計算ができます。
(2)n→∞とするとxn→π/2となるので、√n(π/2-xn)はこのままだと∞×0の不定形になってしまいます。
π/2-xnのままだと計算しにくいので、sin(π/2-xn)を考えるとよいでしょう。その心は、sin(π/2-xn)/(π/2-xn)→1となるので、十分大きいnについてはπ/2-xnをsin(π/2-xn)と近似してもよい、ということです。
(3)PnとQnの座標を計算してSnを計算していきますが、(1),(2)の結果が生かせるように、できるだけfn(xn)やπ/2-xnの形を残しながら計算するとよいでしょう。
<筆者の解答>