ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -1997年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

29回目の今回は1997年になります。

(問題未入手だった分の補充です。問題を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます)

第1問

2次関数に関する問題です。

 

(1) f( f(x) )-x を力ずくでf(x)-xで括っていくのが、結局一番速いです。コツとしては、f(x)-xの塊を作りながら式変形していくことです。

 

(2) f(p)=q, f(q)=pを一まとめにすると、f( f(p) )=p, f( f(q) )=qとなるので、pとqはf( f(x) )-x=0の異なる実数解の内の2つとなることが分かります。これで(1)の知見が生かせそうです。

 

f( f(x) )-xをf(x)-xで割った商をQ(x) (2次式) としたとき、f( f(x) )-x=0の解は、f(x)-x=0の解とQ(x)=0の解を合わせたものになります。もしpとqがもしf(x)-x=0の解だとすると条件と合わないので、必然的にp,qはQ(x)=0の解となります。

 

なので、結局のところ、Q(x)=0が異なる2つの実数解を持つ条件を調べればよいことが分かります。

 

ただ、心配事が1つあって、Q(x)=0の解が同時にf(x)-x=0の解になっている可能性が残っています。もしそうだと題意が成り立たないので、きちんとQ(x)=0の解とf(x)-x=0の解にダブりがないことを確認する必要があります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

ベクトルを絡めた図形問題です。

 

(1)問題文の条件式から、OA・OBと|OB|に関する方程式が2本できるので、まずは連立しましょう。

この結果から∠AOBの情報も分かるので、ABも面積も計算できます。

 

(2)要するにPは原点中心の半径|OB|の円を描くわけです。これをもとに△PABを視覚化すると、Pが、直線ABと平行な円の接線と円の接点になるときに、△PABの面積が最大になることが分かります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

領域に内接する正方形に関する問題です。

 

図を描いてみると、大きさが最大になる正方形は、各頂点が全て領域の境界線上にあって、その上で「1辺がy軸上にある」か「放物線の軸x=1/2について対称になっている」の2択であることが分かります。

 

その境目を調べた上で、場合分けしましょう。

 

<筆者の解答>

 

第4問

確率の問題です。

 

問題文に「独立に」とあるので、「一度取り出したらその都度戻す」と解釈されます。いわば1~Nまでが出るサイコロを何度も振るイメージです。なので、それ前提で解きます。

 

(1)L=2となるのは、m回とも2以上の数を選び、かつそのうちの最低一回は2を選ぶ、という場合です。余事象の考え方で確率計算するとよいでしょう。

 

(2)H=L+1となるのは、選ぶ数が「k」「k+1」(k=1,2,・・・,N-1)の2つだけで、なおかつその各々が最低1回は出るときです。

 

まずはkを固定して確率計算して、最後にkを動かして足し上げればよいでしょう。

 

(3) (2)と同様に、H=L+2となるのは、選ぶ数が「k」「k+1」「k+2」(k=1,2,・・・,N-1)の2つだけで、なおかつそのうち「k」と「k+2」がそれぞれ最低1回は出るときです。

 

こちらについては、「最低1回」の処理が(2)よりも面倒なので、注意が必要です。

 

<筆者の解答>

 

第5問

曲線の通過領域を調べる問題です。

 

曲線の関数を微分して極値を調べれば、結局曲線の内-a<x<aの部分の通過領域を調べればよいことが分かります。

 

いきなり、-a<x<aの部分に限定した通過領域を調べるのは大変なので、一旦曲線全体の通過領域を調べて、極点の軌跡で切り取ってしまえばよさそうです。

 

通過領域の調べ方は、「曲線の式をaの方程式と見なし、これが0<a<1なる解を持つx,yの条件を調べる」という逆像法と、「yをaの関数と見なし、xを固定したときのyの値域をxの関数で表現する」という順像法の2つがありますが、答案では前者を採用しています(後者でも今回の場合はほぼ手間は変わらないと思います)

 

<筆者の解答>