私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。今回は2009年の問題です。
第1問
小問集合です。
(1)いわゆる「線形計画法」の問題です。x>2, y≧x/(x-2), x+y≦6を満たす領域をDとして図示し、直線3x+2y=kがDと交点を持つようなkの条件を求めます。kの上限と下限が、「端の点を通るとき」なのか「接線となる時」なのかの注意が必要です。
(2)自然数の桁数を評価する問題で、mがkケタなら、10^(k-1)≦m<10^kとなることを使います。(ⅱ)は、この不等式を利用してはさみうちの定理に持ち込むとよいでしょう。
(3)行列の計算問題です。Aの各成分を文字で置いて成分比較すると4本の方程式ができるので、これらを連立して解きます。
<筆者の解答>
第2問
楕円と直線に関する問題です。地味にkが負というのが意地悪です。。
(い)まで
Cとlを連立してできる2次方程式について考えればよいです。これが2つの実数解を持つ条件を調べ、解と係数の関係を使ってPQを計算します。
(お)まで
△PQRが最大になる時、RはCと傾きmの直線の接点になります。傾きmの接線は2本出てくるので、Rの候補が2点出てきます。それぞれについて△PQRの面積を計算して大小比較しましょう。さらに(お)については、(am)^2 + b^2という数がやたら登場しているので一文字で置いてしまえば見通し良く計算できます。
<筆者の解答>
第3問
複雑な状況設定の確率の問題です。
・表が1枚→状態P
・表が2枚で同一辺上に並ぶ→状態Q (初期状態)
・表が2枚で対角線上に並ぶ→状態R
・表が3枚→状態S
として、ルールに従って各状態の移りあい方を考えます。
(1)状態Qからの移り方を調べ上げることに終始します。
(2) (1)と同じようにして、状態P, R, Sからの移り方を全て調べましょう。
(3) (2)で得られた漸化式を使って、数学的帰納法で証明します。
(4) (3)の結果も使いつつ、漸化式を解き進めます。幸いにしてrnの一般項はただの等比数列なので簡単に求まり、さらにr1=0なのでrn=0となるので非常にうれしいです。
<筆者の解答>
第4問
線分の通過領域の面積を計算する問題です。
(1) f(t), g(t)をそれぞれ2回微分しましょう。
(2)ベクトルの関係式から OQ=OP+qα の形でかけるので、Qが単位円上にあるように実数qを決めましょう。
(3) (1)の結果からf''(t)<0なので、f'(t)は単調減少になります。
(4)QとPを実際に図に起こしてあげると、PQの通過領域が分かります。あとは積分計算すれば面積が求まります。積分の計算はかなり大変です。。。
<筆者の解答>