ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の早稲田理工数学 2017年

私立最難関の一角、早稲田大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2017年です。

 第1問

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複素数平面の問題です。

 

(1)式にz=1, z=αを代入して考えます。

 

(2)z=1/wを(1)の式に代入して計算します。

 

(3) (1)と同様に直線PRの式と、zがその直線状にある時のwの軌跡を求め、直線QRについても同様に求めます。これら3つの曲線で囲まれた領域が、求める領域です。

 

<筆者の解答>

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 第2問

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関数のグラフ・面積の問題です。

 

(1) f(x)を微分するだけの簡単な問題です。

 

(2)  (1)からpをaで書けるので、絶対値の外れ方に注意して積分計算しましょう。

 

(3) (2)のSを微分して増減を調べます。

 

<筆者の解答>

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 第3問

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四面体の体積と面の面積に関する問題です。(1)が意外と難しかったりします。。

 

(1)

(ⅰ) △ABCを底面としたときの高さがt倍となります。

(ⅱ) この小問が、この第3問の核心部分です。

 一旦dを固定してb,cを動かしてみると 、Pは(AQ=dADとしたときの)Qを通り△ABCに平行な平面上を動くことになります。Pがこの平面上にある限り、Pがどこにいようと△ABCからの高さは変わりません。よって、ABCPの体積にはb,cは無関係であり、dだけで決まることが分かります。後は(ⅰ)を利用すればよいでしょう。

 

(2) AIベクトルをAB, AC, ADで表現することで(1)を利用し体積比を求められます。さらに表面積の情報からrとViの関係も求まります。

 

(3) rがα,β,γ, δについて対称なので、ほぼ自明ですね。

 

<筆者の解答>

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 第4問

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確率、というよりもそれを題材にした関数の最大化、期待値の計算をする問題です。

 

(1) 問題文の設定からpk(t)を直接求めてしまうのが早いでしょう。二項係数が出てくるので、和の計算には二項定理が使えます。

 

(2) (1)で計算したものは確率の総和となるので、1です。

 

(3) pk(t)をtで微分して増減を調べます。

 

(4) 期待値の計算です。pk(t)は二項係数で書けているいわゆる「2項分布」というタイプの確率になっています。

一般に2項分布は、

「P(p, k) : 発生確率pの現象がn回中k回起こる確率」と定義され、 

kの期待値は Σk × P(p, k) =np と計算することができます。

 

<筆者の解答>

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 第5問

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3時間方程式の特殊解法に関する問題です。(3)以降が非常に難しい問題で、捨て問にしてよいと思います。(2)までは標準レベルなので確実に解きたいです。

 

(1)条件(*)から、x=-1/(α+1) もf(x)=0となっているので、f(α)=0も利用してαの恒等式を作りましょう。

 

(2) f(x)の増減を調べることに終始します。x=±2でのf(x)の値と、極値を計算すればよいのですが、極値の計算に工夫が必要です。常套手段は、f(x)をf'(x)で割り算して次数を下げることですね。

 

(3)はやや難度が上がります。f(x)の式を直接因数分解するのが難しいので、逆から考えてみます。

f(x)=0 が2cosθ, 2cos2θ, 2cos3θをすべて解に持つなら、

f(x) = (x-2cosθ) (x-2cos2θ) (x-2cos3θ) と因数分解できるはずです。

 

よって、予め 2cosθ, 2cos2θ, 2cos3θをすべてαの式で計算しておいて、この因数分解された式を展開してf(x)の式と一致することを示せばよいです。

 

(4)は難問です。

条件(*)から、g(2cosθ), g(2cos2θ), g(2cos3θ)がすべてf(x)=0の解になるので、

g(2cosθ), g(2cos2θ), g(2cos3θ)は、2cosθ, 2cos2θ, 2cos3θのどれかと1対1対応で等しくなっているはずです。この等しい組み合わせを調べるのが第1歩です。

 

調べていくと、g(2cos2θ) = 2cos3θ、g(2cosθ) = 2cos2θ が分かります。

後者の式でθを2θに取り換えると、g(2cos2θ) = 2cos4θ

 

となるので、結局cos3θ = cos4θ を解くことになります。

 

<筆者の解答>

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