このシリーズでは、平成の京大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
9回目の今回は1998年になります。
第1問
行列に関する証明問題です。
(1)もしAが逆行列を持つ(ad-bc≠0)と矛盾が起こることを説明すればよいでしょう。
(2)ケーリーハミルトンの定理から、(1)の結果も使うとA^2 = (a+d)Aが言えるので、a+d=0を証明していきましょう。
<筆者の解答>
第2問
積分方程式の問題です。
xと関係のない定積分を文字でおいてfn(x)の式を仮決めし、定積分の式にfn(x)を代入して文字を確定させていくという定石で解けます。
<筆者の解答>
第3問
図形と方程式に関する問題です。
与式は1次式×1次式の形なので2次式になっています。なので、与式は2次曲線(放物線or楕円or双曲線)に絞ることができます。また、A1, A2, A3を通ることは明らかなので、後は円になるようにうまくu,vを持ってこれるかが課題になります。
左辺を全部展開して計算してあげると、x^2の項、y^2の項、xyの項、1次以下の項に大別されます。今回は1次以下の項はどうでもよく、2次の項が図形の形を決めるファクターになります。
ここで、x^2とy^2の係数が等しく、かつxyの係数が0なら、図形は円になります。
その条件を書くとu,vの連立1次方程式が出来上がるので、それが必ず解を持つことを証明しましょう。
<筆者の解答>
第4問
極限の計算問題です。
(1)xnの式がキレイに求まらず、かと言ってはさみうちの定理もうまく使えないため、図形的に考察していきましょう。
元の方程式を見たとき、右辺の「x」が明らかに仲間外れなので、そいつを孤立させる形で「2曲線の交点」に持ち込むと見通しがよくなります。
こうしてグラフを書いていくと、xnはnが大きくなるにつれて直線x=nπに寄っていくことが視覚的に分かります。
※(2)の設問の存在から、(1)の答えが0になることは想像できちゃうと思いますが笑
(2)こちらも発想が必要で、どうやってn(xn-nπ)の形を作るかがカギです。
xnの方程式を作り、辺々nπを引いてxn-nπを掛け算してあげれば、n(xn-nπ)の形を作ることができ、なおかつ他の極限値が全て計算できる格好になります。
<筆者の解答>
第5問
確率漸化式の問題です。考えているうちにダブルカウントなどが発生しやすいので注意が必要な問題です。
(1)n=2の場合は、横辺の少なくとも一方が開通していればB2に到達できるので、計算は簡単です。が、n=3の場合はそこそこややこしいです。
答案では、ダブルカウントを防ぐために「B3に到達できない確率」を考えて解いております。
(2) 漸化式を使って解きます。
Bn+1に達する方法は、
1. Bnに到達して右に動く
2. An+1に到達して上に動く
の2択なので、それぞれの場合を考察します。が、1,2を考える場合に共通部分があることにくれぐれも注意です。
<筆者の解答>
第6問
積分計算と、体積計算の問題です。
(1)なかなかに厄介な積分です。
三角関数の積分は、基本的には倍角の公式と和積の公式を駆使してsin, cosの1次式まで分解して解くのが定石ですが、「2倍角の2乗」「3乗」といった目が眩みそうな複雑さで、とてもじゃないですが定石を使ってうまく進むビジョンが浮かんできません。
ここは幸い、cos2θもsinθ^2もいずれも「cosθ」の式で書け、なおかつ余ったsinθが「cosθの微分」の形になっているので、t=cosθと置換して解くのがよいと思います。
それでも積分を計算すると分数がたくさん出てくるので、計算はかなり大変です。
(2)「直線y=xを回転軸にして」というのがかなり考えにくい要素です。
このままだと扱いにくいので、曲線全体を-45°回転してしまいましょう。すると「x軸を回転軸にして」という見慣れた状況に持ち込むことができます。
式の上では「曲線の平行移動」と同様にθを「θ+45°」としてあげれば、回転が実現できます。
あとは、頑張ってInが出てくるようにVを計算していきましょう。
※I2の計算が(1)で見たように大変だったので、I3の計算はそれ以上でしょう。なのでVの具体的な値ではなく、式の導出に留めているのだと思います。かなり良心的です。
<筆者の解答>