ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -2017年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

3回目の今回は2017年になります。

 

第1問

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実数の存在条件を求める問題です。

 

与式の左の等式からは円が、右の等式からは直線が求まります。与式を満たす(x,y)は、この円周上にも直線上にも存在するので、この円と直線が交点を持つようなkの条件を求めてあげましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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漸化式に関する証明問題です。

 

一般項を求めるのが難しい漸化式なので、漸化式のままで考えることにします。

 

証明する不等式に登場するのが、1, an, an+2の3人なので、まずはan+2とanの関係式を求めて1との差を考えるとよいでしょう。

 

ちなみに、この不等式を証明する過程で出てくる②式を使うと、anが1に収束することを示せます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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確率の問題です。

この問題については、「球を戻さない」という指示があるので、Aが最後に勝つ瞬間以前については、どういう経緯で得点が入るかは気にせず、それまでに何個3の倍数、そうでない数が抜かれているかだけを追っていけばOKです。

 

(1)Aに得点が入る前に、Bに入る得点が1点以下であればOKです。

 

(2)Aが12点目を獲得する前に、Aが10点を獲得しBの得点が11点以下であればOKです。

これで確率を計算する式自体は立つのですが、どうあがいても「5乗のシグマ」が必要になるので、その導出でかなり手間取ることになります。

 

よしんばそれができたにせよ、n=11という比較的大きな数を代入するのでその後の数値計算も大変です。なので、試験場での完全解答は難しい問題かと思います。

 

<筆者の解答>

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※5乗シグマ公式の導出

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第4問 ※数Ⅲ必須

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図形と絡めた整数問題です。

 

(1)△OABの面積は|4m-3n|/2で書けるので、0でない最小値は|4m-3n|=1のときに実現します。そうなるm,nを調べましょう。

 

(2)こちらは内積を利用するとcos∠AOBの式が求まり、m/n=tとしてあげればtだけの式で書けます。角度が最小ならcosの値は最大になるので、このtの関数の最大値を考えることになります。

 

微分して処理するとt=3/4のとき最大だと分かりますが、残念ながらこれだと「O,A,Bが一直線上にない」という条件と反してしまいます。なので、3/4に近い別の有理数で調べる必要があります。答案では、tの分母で場合分けして調べています。

 

これも中々計算の骨が折れる問題です。

 

<筆者の解答>

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第5問(a) ※数Ⅲ必須

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大小を判定する問題です。(1)と(2)は一見すると独立した問題のように見えますが・・・

 

(1)2つの関数の差を取って微分する、という典型問題です。

ここで、分数の式よりも1次式の方がなんとなく大きそうだ、という感覚は持っていてもいいかもしれません。

 

(2)p,qが指数に入った式があり、そのままでは処理しにくいです。指数の入ったを処理するには対数が打ってつけですので、お互いに対数を取ってから大小関係を調べると見通しがよくなります。せっかく関係式があるのだから、p,qをどっちかに統一しておくとなおよいです。

 

そうして数式処理をして対数の中身を見比べると、x=a/b, r=1/pとすると、(1)で示した大小関係がそのまま使えることに気が付きます。

 

<筆者の解答>

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第5問(b)

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体積の計算問題です。

 

(1) OA, OB, OCの大きさと内積を計算していきます。2倍角、3倍角が面倒要素なので、できる限りsinθ, cosθの式に直して、それもcosθを優先して出現するようにすると見通しがよくなります。

 

(2) (1)の結果からOを挟んだ全ての角度が90°だと分かるので、体積Vは、V=|OA|*|OB|*|OC|/6で容易に計算できます。

問題文の条件からθを求めて、OA,OB,OCをそれぞれ確定させます。

 

θが2通り求まるので、対応するVも2通り求まることになります。

(これであってるか不安です。問題文の条件を何か見落としている?)

 

<筆者の解答>

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