ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東北大理系数学 -1993年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、東北大学の1993年の問題を取り上げます。

第1問

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行列の計算問題です。

 

(1)両方とも、直接計算しましょう。A^nの式は、帰納的に分かるタイプです。

 

(2) (1)の結果から明らかでしょう。

 

(3) Xが存在すると仮定して、矛盾が起こることを示しましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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対数関数の絡んだ三角形の面積を最大化する問題です。

 

Pのx座標を文字で置いて、法線の式を求めて図示してあげればよいでしょう。三角形も直角三角形なので面積は簡単に求まります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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三角形を斜めの直線で回転させてできる立体の体積を考える問題です。本セット最難問です。

 

(1)はx+y=1とy=xtanθの交点を考えるだけの問題なので、これだけでも取っておきたい問題です。最大最小は、sinとcosの合成で行けるでしょう。

 

(2)以降が難問です。

こうした回転体を考えるときは、図形を回転軸の一方に折り返して考えるのが鉄則です。こうすることで、重なり具合などを具体的に考えることができます。

 

体積を考える際は、2つの円錐の和ーダブった部分 で計算すればよいのですが、そこそこ汚い式になってしまいます。

 

(3)では、(2)の汚い式の最大最小を考えないといけないので、気が滅入ってしまうこと必至です。

 

まず、分子と分母の両方に2乗が入っているのが面倒なので、これをどうにかしたいです。ここは、sinθ+cosθが入っていることから、Φ=π/4 -θと変換し、2倍角の公式を駆使すると、多少はスッキリします。しかし、ここまでやっても、微分しても展望は見えてきそうにない形です。

 

ここは、仕方ないので寝技で仕留めに行きます。どうせ、θ=0、π/4の時に最大最小になるんだろ?と決め打ちして、Vの式が単調になっているかどうかを調べることにします。

 

微分せずに、コマ切れにした関数たちが単調にどう変化しているかを調べると、奇跡的にVはΦについて単調増加することが分かります。

 

正直この(3)は、捨て問のレベルです。。。

 

<筆者の解答>

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第4問

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確率の問題です。

 

(1)1~r+nからr+kを選んだ時に、1~rが全て選ばれている確率と言い換えられます。

 

(2) 類題経験があると、部分分数分解を使えば和が計算できると思いつくと思います。

 

<筆者の解答>

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第5問

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(筆者注: Aの成分に一部誤りアリ。(1,2)成分と(2,1)成分がc, (2,2)成分がb が正しい)

1次変換とベクトルの計算問題です。

 

(1)問題文の通りに計算しましょう。

 

(2)内積の値を直接計算して、増減を調べます。微分を使うまでもない形です。

 

<筆者の解答>

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第6問

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三角関数多項式の絡んだ方程式の解に関する問題です。

 

(1)前半は、それ以外の場合は2より小さいor負になるなどNGになります。

後半は、同値変形するとa≧10/3となるので、前半の不等式との大小関係を考えましょう。

 

(2)S-Tをaを使って表現して、取りうる値を調べましょう。途中(1)の不等式を使って計算を楽にしましょう。

 

<筆者の解答>

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