ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大数学 2000年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の2000年の問題を取り上げます。

第1問

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円が絡んだ光の反射に関する問題です。

 

(1) A(1,0)とし、i回目に反射する点をRiとします。反射角が等しくなることに注目すれば、△AOR1m △R1OR2, △R2OR3、・・がすべて合同な二等辺三角形になることに気が付きます。これを使えば図形的にθの条件が求まります。不等号に=を入れるか入れないかで解釈の問題が発生する気がしますね。

 

答案では、R2(-1,0)となる場合は2回目の反射ができてないのでNG, R3(-1, 0)となる場合は2回反射出来ていて3回目の反射ができていないと解釈しました。

 

(2)直線R2R3の式を求めてそのx切片を求める流れになります。加法定理と和積の公式を使うと驚くほどスッキリした結果になります。

 

(3) (2)の結果の増減を考えるのですが、そのままθで微分すると大変になり得策ではありません。sin5θがsinθで割り切れることに気付ければ、実質分母の増減を考える問題に帰着できます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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複素数の不等式証明の問題です。

 

(1) zの式を代入して絶対値の2乗を計算しましょう。

 

(2) wn = 1+z+z^2+・・・+z^nと置いてwnを簡単な式で書くことを考えればよいです。基本的には等比数列の和なのですが、z=1の場合だけ例外扱いになることに要注意です。

 

(3) (1)の時、z=1はNGなので(2)の例外は排除できます。とはいえ、不等式の証明には発想が必要です。

(1)の結果を使ってcosθを評価し、cos(n+1)θ≧-1で評価し、また0<r<1を使って評価するという3ステップが必要になります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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三角柱を切った断面になる三角形の面積について考える問題です。

 

三角柱の底面をxy平面に固定して考えてあげると、断面の法線ベクトルが一緒なら面積は常に一定になるので、一頂点をxy平面に固定して考えて問題ありません。

 

その上で残り2点の座標を文字で表現して面積を計算します。予選決勝法で考えればよいのですが、「直角三角形」という条件を見落としやすいので要注意です。

 

<筆者の解答>

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第4問

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2種類の指数関数の交点の極限、面積の極限を計算する問題です。

 

(1) f(x) =e^(nx) - e^x -1 としてf(x)の増減を考えてあげるとよいでしょう。

 

(2) anはf(x) =0の解になるので、(1)を生かしてanの範囲を絞っていきます。「anの極限→nanの極限」という設問から、はさみうちをつかえばanは0になりそうだと想像できますので、0に収束する値を使ってanを上から押さえる発想で考えます。式の形からして、その上限値が1/nの仲間になりそうなので、そこからあたりをつけていきます。

 

nanの極限は、f(an) =0を利用すると求まります。

 

(3) nSnをじかに計算して(2)の結果を使って極限を計算しましょう。途中微分の定義を使う場面が登場します。

 

<筆者の解答>

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