このシリーズでは、日本医科大学の数学の問題を解いていきます。
16回目の今回は2007年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
関数の増減と極限を考える問題です。
(1)f(k)の積分をばらしてkを外に出してから、kで微分していけばよいでしょう。
(※積分と微分の順番を入れ替えていいとは限らないので、積分の中身をいきなりkで微分することは非推奨です。今回は結果論入れ替えても同じ結果が得られますが)
(2)実質a^2×logaのa→+0での極限を考えることになります。問題文のヒントを使って、はさみうちに持ち込んでいくと、この極限が0になると分かります。
<筆者の解答>
第2問
条件を満たす点の存在の有無を調べる問題です。
(1)Sは、ab平面での直線a+b=kのうち第1象限にある部分になります。Sの上で(a,b)を動かした時に、x^2+y^2が、a^2+b^2の最小値「未満」であればよいわけです。
(2)こちらについてもxyが、abの最小値「未満」であればよいわけですが、abの値域を調べると、下限を0にいくらでも近くすることができるので、xy≦0でないといけないことが分かります。しかし、これはxy>0と矛盾します。
<筆者の解答>
第3問
図形の面積と周長を考える問題です。
扇形の中心角θ=∠AOPを使って、Tの周長と面積を考えると見通しが良くなります(rもθの式で表せます)。扇形の面積にθが露出して、θをrの式では(高校範囲では)表現できないので、rの式ではなくθの式でまとめていくというのが心です。
面積S(θ)をθで微分して、符号が切り替わるタイミングを調べていきましょう。
<筆者の解答>
第4問
ベクトルと確率の融合問題です。
(1) |u|=|v|=|w|=1, u・v=v・w=w・u=-1/2になることに注意して計算していけばよいでしょう。
(2)これは教科書レベルでしょう。a個のA, b個のB, c個のCを並べる方法を考えることと同じですね。
(3)問題文のヒントにそのまま従えばすぐに求まります。
(4)abの期待値を計算しようとすると、実質1/(a-1)!(b-1)!c!の和を調べることになります。
この時の和の取り方が、A=a-1, B=b-1とすることで、
「A,B,cは、A+B+c=n-2を満たす非負整数」と言い換えられ、Sn-2を考えたのと一緒になる、ということに気付けたかがポイントですね。
(5)bc, caの期待値はどちらもabの期待値と一緒になるので、(1)の結果から期待値を計算できます。
<筆者の解答>