ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大数学 1989年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の1989年の問題を取り上げます。今回で最終回です。

第1問

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放物線の2接線の交点に関する問題です。

 

先にP(a,b)とおいて、Pからy=x^2に伸ばした接線の傾きを求め、QとRの座標を求めておくとよいでしょう。

 

(1) 問題文に書かれている不等式は(a,b)の条件です。QRの中点Mを(X,Y)として、a,bをX,Yの式で書いてあげれば、問題文の条件をX,Yの条件に読み替えることができます。これを図示しましょう。

 

(2) PQベクトル、PRベクトルを計算することによって△PQRの面積をa,bの式で表すことができるので、面積一定の条件からbをaの式で書くことができます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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サイクロイドに関する問題です。

 

(1)A, Bの接点をQ, P0(2,0)と置くと、弧PQの長さと弧P0Qの長さは常に等しくなります。これを使って、Pの座標をθを使って表現しましょう。(※θは円Bの公転角とします)

 

(2) P(x,y)とおいて、dx/dθ, dy/dθを計算して公式に当てはめればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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関数方程式の問題です。

 

(1) x=0で微分可能という情報があるので、x=0としたときの情報が知りたくなります。

すると、f(0) [ f(x) +1] = 0 となるので、f(0)が0なのかそうでないかで状況が分かれます。0でないときは簡単で、f(x) = -1という定数関数になるので、当然どこでも微分可能です。

0になる時が少し難しいです。微分可能かどうかが知りたいので、微分の定義、

[ f(x+h) - f(x) ]/h が h→+0, h→-0と極限を取った時にどうなるかを調べます。計算を進めると、結局f(h)/hがどうなるかを考えることになるのですが、f(0) =0なので、

f(h)/h = [f(h) -f(0)] / [h-0] となって微分の定義がそのまま使える形になります・

 

(2) (1)におけるf(0) =0 の場合が、f(x)の微分方程式になっているので、これを解きます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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積分値の極限を計算する問題です。

 

積分のsinの中身がnxとなっているのが面倒なので、t=nxと変数変換してしまいます。すると、積分範囲が0~nπとなるので、πずつ積分区間を区切って考えるとよいでしょう。

 

このようにして積分を計算してから極限を取ればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第5問

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確率漸化式と期待値の問題です。

 

(1) k回目の操作で、既出のカードを引くか、新規のカードを引くかで場合分けすればよいでしょう。

 

(2) Ekの式に(1)の結果をそのまま突っ込んで、Ekの漸化式を作ることを考えます。rとkという2つの引数があるので、つじつま合わせをうまく行って式を簡単にしていきましょう。

あとは、E1= 1を使って漸化式を解けばよいです。

 

<筆者の解答>

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