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平成の九大理系後期数学 -2002年-

このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

18回目の今回は2002年になります。

 

第1問

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4次関数の対称移動と交点、面積を求める問題です。

 

(1) C1:y=f(x), C2:y=g(x), C3:y=h(x)とすると、原点対称についてはg(x)=-f(-x), y軸対称についてはh(x)=f(-x)で表すことができます。

 

(2) C1, C2を連立すると複2次式のタイプの4次方程式が出来上がります。その時に値が正となるx^2が1種類しか出てこない条件を考えます。

 

(3)C1とC3との交点の座標も求めて面積を積分計算しましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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速度について考察する問題です。

vA, vBがそれぞれOA, OBベクトルをtで微分したもの、vがOPをtで微分したもの、と考えると見通しがよくなります。

 

(1)vについては、OP=(OA+OB)/2を両辺tで微分すればよいですし、θ'(t)e(t)については、ABをtで微分するとよいです。

 

(2) (1)で求めた関係式からθ'(t)が先に求まるので、それをtで積分すればθ(t)が求まります。

 

この情報を使ってvの各成分をtで積分すればx,yが求まります。その際、1次式×cosの積分と, 1次式×sinの積分の両方を計算する必要があり、複素数の知識を使って答案では一度に計算しています(オイラーの公式を使っています)。

 

dについては√(x^2+y^2)を計算すればよいですが、式がやたらと汚くなります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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絶対値の入った積分を考える問題です。

 

(1)aの値によって絶対値の中身の符号が変わるので、場合分けして計算します。

 

(2) f(a)の両端は単調に変化するので、最小になる可能性があるのは真ん中の部分だけです。

 

(3) 2/3<log2<4/5から逆算すると、e^2<8とe^4>32が証明できればOKです。

 

f(a)の0≦a≦2での最大値は、候補が2つ出てくるので、その大小を2.7<e<2.8と2/3<log2<4/5の両方を使って調べていきます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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ベクトルの問題です。

 

(1) AP:BP=2:√3をOを始点にして整理すると、OPで平方完成できる形に出来て、|OP-OR|=(定数)の形に出来ます。このとき、Pの軌跡は中心R、半径が右辺の定数となる球面になります。

 

(2)正四面体という条件から、|a|=|b|=|c|=rとすると、それらの内積やSの半径をrの式で表現できます。このとき|CR|がSの半径よりも大きいことを証明すればOKです。

 

(3) Qが辺BCをq:(1-q)に内分する点として定義して、それをSの式に代入してqを求めてしまえばよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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