このシリーズでは、山梨大学医学部後期の数学の問題を解いていきます。
4回目の今回は2019年です。
第1問(1)
n進法の計算問題です。
それぞれの数字を10進法に直してから計算するとよいです。
<筆者の解答>
第1問(2)
不等式を解く問題です。
ルートの中身が0以上じゃないといけない、左辺が負なら必ず成立する、などに注意して両辺を2乗していきましょう。
<筆者の解答>
第1問(3)
ベクトルの問題です。
|OA|=|OB|=|OC|=1に注意すると、与式をOC=の形にして2乗するとうまくいきそうです。
<筆者の解答>
第1問(4)
ルートの入った方程式を解く問題です。
キについては、与式で「分子の有理化」を行えばよく、そうしてできる式と与式を組み合わせてxを調べていきます。
<筆者の解答>
第2問(1)
多項定理に関する問題です。
7個の因数から、x^3, x^2, x, cのどれかを一つずつ選んでかけることで式が展開されていきます。なので、7個中p個x^3を選び、q個x^2を選び、r個xを選び、s個cを選ぶ、とやってあげると、3p+2q+r次の項が出来上がります。
あとは、各次数に対応する(p,q,r,s)の組み合わせを調べて係数を確定してあげます。
<筆者の解答>
第2問(2)
導関数の値に関する問題です。
2回微分はともかく、10回微分を計算するのはかなり骨が折れます。ここは「ライプニッツの公式」というものを利用すると見通しが良くなります。
F(x)=f(x)g(x)をn回微分したものは、「2項係数nCkをかけつつ、f(x)をk回微分したもの×g(x)をn-k回微分したものを足し上げたもの」になるという、2項定理と似たような公式です。(証明を載せていますので、ご参考までに)
cosは奇数回微分するとsinに、偶数回微分するとcosになることから、kを偶奇で分けるとよいですね。
<筆者の解答>
第2問(3)
シグマで書かれた関数の増減についての問題です。
シグマの中身を素直にaで微分してあげればよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題です。
p(k,l,m)を計算すると、結局k!l!m!が最小になればよいことが分かります。
(すべての選び方が3^20通りで、問題文の条件を満たす場合の数は、k個のA, l個のB, m個のCの並べ替えと一緒です)
k+l+m=20, l+2m=24の条件下で(k,l,m)を調べると9通り求まります。この9個すべてについてk!l!m!を計算するのは現実的ではないので、数字が被っている者同士から比をとって比較することで候補を絞っていくのがよいですね。
<筆者の解答>
第4問
対称式に関する問題です。
(1)pn+3からpn+2を無理やり作ることを考えてみます。そうすると余分な項がいくつか出てくるので辻褄合わせしていくことになり、その過程でpn+1, pnも登場します。
(2) (1)の結果からほぼ自明ですが、方法は数学的帰納法でよいですね。
n=1,2,3の時の成立を確かめ、n=k,k+1,k+2の時の成立を仮定するとn=k+3も成立する、という流れです。
<筆者の解答>
第5問
極限の大小比較をする問題です。
この問題の背景は「積分の数値解法」という概念です。
コンピュータでは積分を厳密に計算することが原理上できないので(極限を取り扱えないため)、積分をとある近似式で近似することで、足し算に変えて計算する、という方法がとられます。これを「数値解法」と呼ぶわけです。
今回の場合はSnもTnも、Inの値の近似値を計算する関数となっています。
f(x)=e^(-x)を代入してあげれば、In, Tn, Snはすべて綺麗に計算でき、極限計算も容易に行えます。
その上で2.71<e<2.72に注意して|I-S|と|I-T|を計算し、その差の符号を調べてあげましょう。
結論は|I-T|>|I-S|となり、これの意味するところは「Inの近似としてSnの方がTnよりも精度が高い」ということになります。Snの方がより複雑で多くのデータを使用しているので、直感的にもSnの方が精度が高そうだと想像できますね。
<筆者の解答>
第6問
楕円の接線に関する問題です。
(1)Pを通る直線をy-√2=m(x-√2)として、これとCを連立したものが重解を持てばOKです。
(2)QはOについてPと対称な点なので、C自体がOについて対称なことも相まって、Qを通る接線は(1)の結果から即座に分かります。
結局4直線で囲まれる四角形は平行四辺形になるので、P,Q以外の残りの頂点の座標が分かれば面積計算できることになります。
<筆者の解答>