ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東北大理系後期数学 -1994年-

このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

25回目の今回は1994年になります。

 

第1問

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楕円の回転に関する問題です。

 

K上の点Pをパラメータ表示して、Aによって回転した座標Qを求めれば、そのQの軌跡がK'となります。K'が件の領域に含まれるには、Qのx,y座標が任意のパラメータでx<0, x+y<0となっていればよいので、Qのx,y座標の取りうる値の範囲を調べましょう。

 

一見すると、求めるθはa,cに依存しそうですが、綺麗に約分されてa,cと無関係になります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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不等式を解いて、面積を計算する問題です。

 

(1) 対数の形のままだと扱いずらいので、指数関数の形に直すとよいと思います。おそらく右側の不等号から処理したほうが楽です。念のため、真数条件にご注意。

 

(2) (1)ができていれば、標準的な積分の計算問題です。

 

<筆者の解答>

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第3問

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点の速度に関する問題です。

 

まずPの座標は、最初の位置(1,0)に、速度ベクトルを積分したものを足すことで求まります。これを利用してQの座標を求め、それを一回微分すれば速度になるので、その座標の増減を調べることに終始します。

 

<筆者の解答>

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第4問

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確率の問題です。

 

(1) サイコロが全て1だとすると、それだけで出た目の合計はNになります。なので、サイコロDkの目が1+akだった時に、Σak=19となれば題意が成立します。ということで、そうなるa1,・・・,aNの組み合わせの個数を調べます。

 

それは「19個のボールと、N-1個の仕切りを横一列に並べる方法」と等しいです。

 

(2) logPNを計算すると、log(N+j)の有限個の足し算に帰着できます。なので、logN/N→0(N→∞)を使えば極限計算ができます。

 

<筆者の解答>

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第5問

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微分方程式の問題です。

 

(1) g'(x)を計算して、それが0になることを言います。f'(x)=af(1-x)をそのまま使うとともに、xを1-xに置き換えるとf'(1-x)=af(x)となることも利用します。

 

(2) f(x)が「微分可能な連続関数」という条件があるので、x=0で最大値をとるなら、f'(0)=0が言えます(ちなみに逆は成り立ちません)。それを使うとf(1)=0が言えるので、g(x)にx=0を代入することで、定数値が求まります。

 

(3) これはいわゆる「King Property」と呼ばれる積分の解法で、ヨビノリさんの「今週の積分」でしばしば登場しました。

 

求める積分をIとすると、x=1-tと置換することで、2Iがg(x)の積分に置き換わります。

 

<筆者の解答>

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