ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大数学 1994年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の1994年の問題を取り上げます。

第1問

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点の軌跡の問題です。文系範囲で解ける、一橋で出そうな問題です。

 

PとQの座標を文字で置いて、Rの座標を求めて面積の条件を使って文字消去すればよいです。

 

<筆者の解答>

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第2問

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双曲線を回転させる問題です。

 

(1)θ回転の行列をかけるだけの基本問題です。

 

(2) (1)の結果からtを消去します。

 

(3) (2)で求まった式にx=√3+1, y=√3-1 を代入すれば三角関数の基本的な方程式になります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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指数関数と三角関数の混じった関数の積分の問題です。

 

(1) このタイプの積分は、①部分積分を2回行う、② e^(-x)sinx, e^(-x)cosxの微分を計算することで原始関数を求める の2通りの方法がありますが、答案では計算ミスのリスクの少ない後者を採用しています。

 

(2) sinxの混じった関数の積分範囲は、πごとに区切って計算すると楽なことが多いです。最終的には、無限等比級数の計算になります。

 

<筆者の解答>

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第4問

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Σの入った2変数関数に関する問題です。

 

(1) f(m,n)を具体的に計算すると、nの値で場合分けするとmの範囲を制限できることが分かります。nを5以下にして虱潰しに調査しましょう。

 

(2) f(m', n') - f(m,n) = 0なら(m', n') = (m,n)でないといけないことを示します。

m' = m+Δm, n' = n+Δn と置いてあげるとf(m', n') - f(m,n)の式がスッキリし、Δm=Δn=0を示せばよいことになります。Δm+Δnの正負で場合分けすると見通し良く検討を進められます。

 

<筆者の解答>

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第5問

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2点間の最小距離を求める問題です。

 

P (p, p^2), Q(q, -q^2-16q-65)とおいてPQ^2を計算することはすぐに分かります。しかし、この後予選決勝法を使おうとすると、どっちを固定して考えても式が複雑になりすぎてしまいます。

 

ここは、本質的に予選決勝法と同じですが、大学数学で習う「偏微分」の知識を使ってみます。

 

偏微分とはずばり、「片方の文字を固定し、もう一方の文字で微分する」ことです。

ここでは、「qを固定してpで偏微分した式」と「pを固定してqで偏微分した式」を計算します。このとき、この2つが両方とも0になるとき、PQ^2が極小(または極大)ということができます。

よって、こうなる(p,q)を求めてしまいましょう。

 

高校範囲で解くならば、Pにおけるy=x^2の法線と、Qにおけるy=-x^2-16x-65の法線が一致する、という条件を使って解くことになりますが、少々気づきにくいかもしれません(別解として紹介しています)。

 

<筆者の解答>

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