ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大数学 1995年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の1995年の問題を取り上げます。

第1問

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数列が整数になる条件を求める問題です。

 

(1) 3次式と階乗では、階乗の方が圧倒的に早く無限大に飛んでいくので答えは自明です。

 

(2) a(n)の分子は連続3整数の積なので6の倍数となります。それを考えればn=1,2,3のときa(n)が整数になることはすぐに分かります。よってn≧4を考えてあげます。

次にa(n)は単調減少する数列なので、いずれは1未満になって整数になりえなくなります。よって、a(n)<1となるまでn=4から虱潰しに調べて下ればよいでしょう。

 

(3) b(n) = a(1)a(2)・・・a(n) とすると、(2)の結果からn≦6ではb(n)が整数になることはすぐに分かります。n≧7ではb(n)は単調減少になるのでいずれ1未満になります。よって、そうなるまでn=7から虱潰しに調べていきましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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図形の面積の最大値を考える問題です。

 

考える5角形を3つの二等辺三角形に分解してそれぞれの面積をθで表して合計すればよく、あとはそれをθで微分して増減を調べればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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関数の増減と、その方程式の解の極限を考える問題です。

 

(1)微分して考えればよいのですが、増減を知るには2回微分までしないと確定しません。極値を与える値はキレイに求まらないので文字で置くしかありません。

 

(2) 指数関数と楕円の式を連立すれば、f(xn)=0に帰着します。f(x)を極小にするxを-αnとすると、(1)のグラフから、-n<xn<-αnが分かりますので、xn/nの下限が-1になることが分かります。ここからはさみうちの定理を使おうという発想に至ります。

 

このときαnの極限を考えるとともに、f(xn)=0を使うと、xn/nをαnの式で上から押さえることができます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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期待値の計算問題です。

 

(1) 取り出すカードがa,b (1≦a<b≦n)の2枚だとして、abの期待値を計算します。

 

(2) (1)と基本的には同じですが、Σ計算をやり切るのが困難な式になります。ここで、求めるのが極限なので、Σの計算結果の最高次の係数だけ分かれば十分です。それを求めましょう。

Σの公式からΣk^mは、nのm+1次式になり、最高次の係数が1/(m+1)になることが分かります。

 

<筆者の解答>

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