理系数学の最難関の一角、東京工業大学の1993年の問題を取り上げます。
第1問
放物線と直線で囲まれる面積を計算する問題です。文字こそ多いですが、完全に見かけ倒しの基本問題です。
1/6公式を使えばS1,S2をそれぞれ計算できて、比が簡単に分かります。その比がkの影響を受けない条件を考えればよいわけです。
<筆者の解答>
第2問
三角関数の極限と積分の計算問題です。同じ関数を扱っているものの、(1)(2)は完全に独立した小問です。
(1) 教科書レベルの基本問題です。分母を調整してsinx/x→1に帰着させます。
(2) 与式の積分をIn とおいて、加法定理を使ってInとIn-1との間の漸化式を考えてあげればよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
4次関数の接線に関する問題です。
(1) Pにおける接線の式と、元の4次関数の式を連立してあげればよいです。こうしてできる4次方程式は、(x-t)^2で割り切れることに気付ければ見通しが良くなります。
(2) α<t<βとなっていればよいので、こうなるtの条件を求めます。
(3) (1)の関係を使ってL^2を愚直に計算しましょう。
(4) s=a-t^2と変数変換するとL^2はsの4次関数として書けるので、微分して増減を調べましょう。
<筆者の解答>
第4問
多項式に整数を代入したときに整数値になるかを調べる問題です。当時0点が続出したと言われる難問です。(2015年の京大第5問あたりが類題ですかね)
P(k)が全ての整数kについて整数だというには、
・P(0)=整数
・P(l+1)- P(l) =整数 (l:任意の整数) ⇒差が全て整数になる
の2つが言えれば必要十分です。これを念頭に置いて考えます。
方針立てからして難しいのですが、この問題は、実は「nについて帰納法を使う」でうまくいきます。n=1のときは成立は明らかでしょう。
n=mのとき題意が成立すると仮定し、P(x)を、P(0)~P(m+1)が全て整数になるm+1次多項式だとします。
Q(x) = P(x+1) - P(x)とおくと、Q(x)はm次多項式で、Q(0)~Q(m)が全て整数になります。このとき、仮定からQ(l) (l:整数)は全て整数になることになります。
すると、「P(l+1)- P(l) =整数 (l:任意の整数) ⇒差が全て整数になる」が見事成立することが分かるので、証明完了です。
いずれにせよ、試験場でこの発想を思いつくのは困難なので、本番では捨て問確定だと思います(他の4つの問題が標準問題なのでなおさら)。
<筆者の解答>
第5問
確率の問題です。
鋭角になる条件は、OPベクトルとOQベクトルの内積が正になることなので、
x1x3>x2x4となります。よって、このようになる(x1,x2,x3,x4)の組み合わせが何通りあるかを数えるのが主題になります。
これを直接数えるのは難しいので、対称性をうまく利用します。対称性から、x1x3<x2x4となる(x1,x2,x3,x4)の組み合わせも同じ数だけあることが分かるので、あとは、x1x3=x2x4となる組み合わせを考えてあげれば、合計6^4通りになります。
よって、より数えやすいx1x3=x2x4となる組み合わせを調べる問題に帰着できたので、あとは虱潰しに調べ上げましょう。
<筆者の解答>