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平成の東北大理系後期数学 -2012年-

このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

8回目の今回は2012年になります。

 

第1問

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指数関数に関わる値域を調べる問題です。

 

(1) X=2^x, Y=3^yとして線形計画法を使えばよいでしょう。不等式は円の形になり、2^x + 3^y=k は直線ととらえることが可能です。

 

(2) こちらは、x+y=tとしてyを消去すると、0<2^t≦-X^3 +2X^2 と出来るので、右辺の最大値がtの上限になることが分かります。

<筆者の解答>

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第2問

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放物線の面積に関する問題です。

 

S(a)を積分で計算して、微分して増減を調べる流れになります。とはいえ、S(a)の式がやや複雑で、微分した後の増減検討が面倒だったりしますが・・・

 

<筆者の解答>

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第3問

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空間ベクトルの問題です。(1)(2)は特に誘導というわけでもなく、独立しています。

 

(1) まずはLの式を求めるのが先決でしょう。Lの式が求まったら、NH//ADを使ってHの座標を求めることができます。

 

(2) Lの式からP(1-p-q,p,q)と書けるので、与式を計算しつつ平方完成していきましょう。

このPの座標の置き方が一つ工夫している部分で、BとCはy座標とz座標が一緒なのでPをこう置くことでp,qが対称な形になって計算しやすくなっています。

 

<筆者の解答>

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第4問

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点の移動に関する確率の問題です。

確率で1ターンに1歩動くか2歩動く、という状況です。

 

(1) 0→4に移動する確率と、4→6に移動する確率をそれぞれ考えればよいでしょう。1歩動く事象と2歩動く事象が何回あるかで場合分けして検討すればよいです。

 

尚、「時刻6までに」ですが、どんなに遅くても6ターンかければ6以上の座標にQは移動できるので、この時刻の条件はあってなきがごとくです。これは(2)も同様です。

 

(2) 3の倍数を踏まないためには、「Qは3k-1に到達したうえで、その直後に2歩動いて3k+1に移動する」を繰り返せばよいとわかります。

 

<筆者の解答>

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第5問

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複素数を使って三角関数の値を計算する問題です。

 

(1)ド・モアブルの定理を証明する問題ですね。数学的帰納法でよいでしょう。

 

(2) 前半はド・モアブルの定理を使えば瞬殺でしょう。後半はαβ=1に着目してα^7=1を利用します。

 

(3) (2)の後半を使うとβの式を全てαの式に書き換えることができ、A+Bはαの等比数列の和になってα^7=1から値が求まります。ABについても同様です。

 

(4) A,Bが複素共役の関係になっていて、sinθ+sin2θ+sin4θがAの虚部になっていることが分かります。そこから、sinθ+sin2θ+sin4θ= (A-B)/2iとわかるので、あとは(3)の結果を使ってA-Bを求めていきます。

 

A-Bの値の候補は2つ出てきますが、sinθ+sin2θ+sin4θをsinθでくくって因数分解するとsinθ+sin2θ+sin4θ>0が分かるので、候補を一択にできます。

 

<筆者の解答>

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第6問

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面積に関する極限計算の問題です。

 

(1) △PkCPk+1の面積σkと周長Lkを調べることで求まります。

 

(2) 不等式の証明は、問題文から実質的にLkを下から評価することに帰着できます。Inの計算は区分求積法で事足り、tanθに置換するタイプの積分計算になります。

 

(3) (2)の結果を使ってはさみうちを使えばよさそうだというのは簡単に想像ができますが、そうなると、うまくLkを今度は上から押さえて同じ極限値になるようにしないといけません。その方法を思いつく必要があって難しい問題だと思います。Σの中身(特にk/nの関数)をなるべくいじらずに評価できる方法を考えましょう。

 

<筆者の解答>

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