このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
初回の今回は2019年になります。
第1問
指数関数の接線に絡む面積の計算問題です。
(1)これは教科書レベルでしょう。
(2)(3)ともに図を描いて面積を計算すればよいでしょう。
(4) (多項式)÷(指数関数)の形は、指数関数の方が強いため極限を飛ばすと0になります。これに注意すれば瞬殺です。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題です。
(1)1回目に赤を引くか青を引くかで場合分けします。
(2)「1回目青かつ2回目赤」÷ (1)の結果で、条件付確率が求まります。
(3) 籠の中が1個ずつになるので、引き方は「赤青青」「青赤青」「青青赤」の3パターンあります。それぞれ確率を計算しましょう。
そうすると、順番によらず確率が一緒になることに気が付きます。
(4) 赤をc-1回、青をd-1回引けば実現できます。(3)の中で引く順番に関係なく確率が一緒だと分かったので、最初のc-1回は全て赤→次のd-1回は全て青、となる確率を求めて、引く順番の場合の数をかければOKだと分かります。
<筆者の解答>
第3問
複素数を使って三角関数の和を計算する問題です。このセットの中では文句なしに一番の難問です。
(1) これは与えられた2式を素直に計算して一致することを確かめればよいでしょう。内積を複素数の言葉で書きなおすとこうなる、という問題です。
(2) Pk(cos2πk/n, sin2πk/n), A(cosθ, sinθ)としても一般性を失いません。(1)の結果を生かせるように、対応する複素数をαk=cos2πk/n+isin2πk/n, β=cosθ+isinθとして考えていきます。
(a) 結局Σαkの値を調べることになるのですが、αkは正n角形の頂点となるので、全部足すと0になります。
(b)こちらはΣαk^2を調べるのですが、こちらもよく考えると足すと0になります。
(c)同様に考えると、Σαk^jの値はj=0以外では0になることが分かります(※)。2項定理を使ってβが消えることを確かめます。
※これを厳密に証明するのが難しく、端折ってしまっています。
<筆者の解答>
第4問
連続a個の整数の積に関する問題です。(1)と(2)以降は独立しています。
(1) 右辺をf(n)として、f(n+1)-f(n)を計算すると、左辺のΣの中身と一致することが分かります。
(2) 両辺にn(n+1)・・・(n+a-1)をかけて、nの恒等式になる条件を考えてあげればよいでしょう。
(3) a≧2であれば(2)の結果を使ってΣを直接計算できます。a=1の時だけ個別に考える必要があり、このときは調和級数になって発散します。(調和級数が発散することを自明のものとして答案では書いています。証明はy=1/xの積分を利用します)
<筆者の解答>
第5問
球の移動に関する問題です。長くて面倒な問題です・・・
(1) 球の中心は(7t-1, 4t+1, 2t+c)とパラメータ表示出来ます。球がxy平面、yz平面、zx平面に接するとき、中心の座標の2乗は全て半径の2乗に等しくなります。
これを利用して、tと半径、cの値を決定しましょう。
(2) (1)で求まった2つの中心座標の差がlの方向ベクトルであり、αの法線ベクトルになります。
(3) Sの中心とαとの距離がSの半径よりも大きいことを証明します。
(4)ここから先は、座標というよりもlを使った位置関係の把握に注力した方がよいです。(3)の結果からSの半径を引けば(4)の答えです。
(5)状況を図に描いてP,Qの(-1,1,1)からの距離を調べてその差を求めるのがよいでしょう。
距離は相似を使って求めるのが早いでしょう。
<筆者の解答>