ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応理工数学 2003年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2003年の問題です。

第1問

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極方程式に関する問題です。

 

(1) x=rcosθ, y=rsinθを利用して変数変換します。

 

(2)点と直線の距離の公式を使ってPHの長さを求めることができ、OP=PHならば、Cは焦点がO, 準線がC'の放物線になります。

一般に、e= OP/PHのことを「離心率」とよび、e=1のとき放物線、0<e<1の時楕円、e>1のとき双曲線になります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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格子点間の移動を考える確率の問題です。

 

(カ)について

さらに東にl回動くとすると、残りのn-k-l回は北に動くことになるので車の座標が求まります。あとはlを消去してあげましょう。

 

(キ)(ク)について

時刻nでx+y=n上にいるとすると、直前の時刻n-1のときはx+y=n-1上にいることが分かります。よって、x+y=n-1から北に動いてx+y=nに行く確率、東に動いてx+y=nに行く確率をそれぞれ考えれば漸化式が立ちます。

 

(コ)について

(カ)の結果を使うと、k=1が分かるので、全体を通じて1回しか西に動きません。問題文の式を読み解けば、

・時刻tでx+y=tに到達

・その直後に西へ移動

・その後は西に進むことなくx+y=n-2まで進む

こんな経路をたどる確率を計算すればよいことが分かります(ここの考え方はノーヒントではさすがに厳しいと思います。穴埋め式を生かして、忖度してあげましょう)

 

(サ)について

クルマが一度もx<0に侵入しないのは、以下の2つを満たすときです。

・西に進むのがt=2,3,・・,n-3のうち1回だけ

・初めて西に進むよりも前に、少なくとも1回は東に移動している

 

よって、問題文にあるatを、at-(1/3)^tに変えて計算すればよいわけです。(1/3)^tは、時刻tまでに一度も東へ移動しない確率です。

 

<筆者の解答>

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第3問

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約数の個数を数える問題で、非常に易しい問題です。

 

(1)正直、(タ)自体知っておくべき知識で、(タ)から全て求まります。nが問題文の通りに素因数分解されるとき、nの約数はp1^m1×・・・×pr^mrと書けて、例えばm1の値は、0からk1までのk1+1通りあります。これが素数の個数r個分あるので、

d(n) = (k1 +1)×(k2 +1)×・・・×(kr +1) と書けるわけです。答案では、簡略化のためΣの掛け算バージョン、Πを使って書いています。

 

(2)nが平方数の時、k1,・・・,krが全部偶数になります。よって、d(n)は奇数だけの掛け算なので奇数になります。逆にd(n)が奇数なら、k1,・・・,krが全部偶数になるのでnは平方数になります。

 

<筆者の解答>

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第4問

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分数関数の増減と面積について考える問題です。

 

(1)f(x)を微分してg(x)を調べ、g'(x)を微分して増減を調べればよいでしょう。

 

(2) f(x)がx=αで極小になるとすると、少なくともk=g(α)が成り立ちます。これとf(α)=0を連立すればkとαが求まります。βはk=g(x)のx=α以外の解になります。

 

(3)y=f(x)とx軸との交点を調べて積分し、計算をごりごり進めます。ヒントはないですが、klogk→0 (k→0)を利用します。

 

<筆者の解答>

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第5問

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特殊な2変数関数の性質を調べる問題です。

 

(1)aiの正負を調べることで各Pがどのエリアにあるかを考えます。

 

(2) F(P)がどの値を取るかで場合分けして、F(Q)とF(R)の値を調べます。

 

(3) (2)の結果を使えば、結局S= F(a0, an)とメチャクチャシンプルな形になります。

 

<筆者の解答>

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