私立最難関の一角、慶應義塾大学の理工学部の問題を取り上げます。今回は2002年の問題です。
第1問
2次方程式の解についての問題です。
(1)判別式>0を考えればよいのですが、2乗の形で形で書けることは気づきにくいですね。
(2)虚数解の実部と虚部を調べてkを消去すると、円の式になります。
(3)純虚数になる条件は、判別式<0かつ実部=0です。
(4)重解そのものを求めると、kに応じて○○±△△のかたちになります。あとは、○○と△△の絶対値の大小を比較しましょう。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題です。
P(Ak)は2n個のボールが全てk番目以外の箱に入る確率、P(Bk)は、1個だけk番目の箱に、残りの2n-1個のボールが全てk番目以外の箱に入る確率で計算されます。期待値は問題文の通りに計算します。
AkとBkが同時に起こらないことに注意すれば、P(AjかつBk)は、j=kのとき0,そうでないときは1個だけk番目の箱に、残りは全てj番目とk番目以外の箱に入る確率で計算できます。
<筆者の解答>
第3問
長方形の板の影について考える問題です。最後まで解こうとするとかなり大変な問題です。
(1) OB'ベクトルは、OBベクトル+光線ベクトルの形で書けて、z座標が0になることに注意します。同様にC'の座標を求めると、AB'C'Dは平行四辺形になります。
(2) (1)の結果でtをt+π/2で置き換えればB'', C''の座標が求まるので、2直線の式を調べることができます。
時刻がt~t+π/2の間ずっと影になり続けるエリアは、図を描くと分かりますが△AEDとなります。
(3) (チ)については何とか出したいところですが、(ツ)はボリューム的に捨ててしまってもよいと思います。。
(チ)について
(2)の結果から、時刻がt~t+π/2の間ずっと影になり続けるエリアは△AEDなのでした。ここでtを動かすとEも動くので、結局π/2秒間影になり続ける領域は△AEDをすべて重ねたもの、つまり△AEDの通過領域になります。これは調べると楕円の半分になることが分かります。
(ツ)について
ここまではxy平面に限定した話でしたが、体積を出すためにはxy平面より上の部分も考える必要があります。よって、(チ)までで考えたことを、一般の平面z=s上での影について考え直します。
sの値によって、今まで通りt~t+π/2の間ずっと影になり続けるエリアが三角形になる場合と、平行四辺形の変形代が小さくて、t~t+π/2の間ずっと影になり続けるエリアが三角形にならない場合という場合分けが発生します。
それぞれに対して通過領域の面積を出して、最終的にsで積分することになります。
このように、(ツ)だけで、(1)(2)~(チ)までに匹敵、あるいはそれ以上の労力がかかるのでコスパが悪く、本番では捨てるべきでしょう。
<筆者の解答>
第4問
球の表面積を導出する問題です。
(1)接線の式を出すことで交点の座標が求まります。その後、底面の半径と母線の長さに注意して展開図を考えることになります。底面の円周と、側面の扇形のこの長さが等しいことから、側面の角度が分かり、面積が分かります(小学生の時よくやったはず)
(ナ)については、相似を使いましょう。
(2) (ナ)の式にs,tの式を代入するだけです。
(3)は難しいです。AkのΣを取ればよいのですが、まさに(ニ)の部分の処理が難しいです。区分求積法を使おうとすると、積分が無限大に発散してしまいうまくいきません。
ここは発想がないと厳しいですが、あえて部分分数分解をして、面積評価をしてみることを考えます。そこからはさみうちの定理に持ち込みます。
<筆者の解答>
第5問
多項式の値の性質を調べる問題です。
(1) f(x)=ΣMi*x^i と足し算の形で書いて、2項定理を利用します。
(2) (1)の式にm=f(n)kを代入すれば明らかでしょう。
(3) あるタイミング(n=n0)でf(n)が素数Pになっているとすると、(2)の結果から
f(n0 +pk)は全てpの倍数になります(kは任意の整数)。f(n)が全部素数になっていると仮定すると、上記からf(n0 +pk) = pとなるので、f(n)=pとなるnが無限個存在することになります。
一方、もしf(n)が定数関数でないL次多項式なら、f(n)=pとなるnは多くてL個、つまり有限個しかありません。
これで矛盾が示せました、
<筆者の解答>