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平成の一橋後期数学 -2000年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

18回目の今回は2000年になります。

 

第1問

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整数の不等式の成立条件を考える問題です。といいつつ、整数問題要素は薄く、むしろ領域図示といった要素が色濃い問題です。今回のセットで一番解法を悩んだ問題です。

 

(1)問題文の不等式を処理すると、aとbの2次の同次式(全部の項が2次の式)ができます。同次式が出てきたら、両辺をb^2で割ってX=a/bの式に変えると見通しがよくなります。そこからXの満たすべき範囲が求まります。

 

一方で冒頭の2≦a<b≦Mから、2/M≦X<1が最初から決まっています。このXの範囲が、上記のXの満たす領域に全て入っていれば題意が成立します。

 

(2) (1)と同じ発想で、X=a/c, Y=b/cとして処理することになります。不等式を処理するとX,Yの満たすべき領域が求まり、一方で2≦a<b<c≦Nから、2/N≦X<Y<1が求まるので、この範囲が、最初に求めた領域にすっぽり含まれる条件を考えます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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方程式の相異なる複素数解の個数を数える問題です。

 

(1)与式は綺麗にz^a -1 の積に因数分解できます。z^a -1 =0の解は、中心0で頂点の一つがz=1となる正a角形の頂点を表す複素数になります。この知識を(2)でフル活用します。

 

(2) 与式を整理し因数分解すると、z^(n+2) -1 =0の解と、z^(n-2) -1 =0の解が、考える方程式の解の全部になります。重解を込みにすれば解の個数は全部で2n個あります。

 

あとは、ここから重複する分を取り除いてあげます。

 

z^(n+2) -1 =0の解は、cos2πk/(n+2)+isin2πk/(n+2) (0≦k≦n+1)、

z^(n-2) -1 =0の解は、cos2πl/(n-2)+isin2πl/(n-2) (0≦l≦n-1)、

となるので、

z^(n+2) -1 =0の解とz^(n-2) -1 =0の解がダブる条件は、(n-2)k=(n+2)lとなることです。

 

n-2とn+2の最大公約数は1,2,4のどれかなので、場合分けして(k,l)の個数を調べましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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図形を絡めた関数の問題です。

 

t=1のときにPはAに到達するので、t<1のときとt>1のときで場合分けが発生します。

余弦定理なども使いながら、最初にf(t)の式を求めてしまうとよいでしょう。

 

(1) √の中身が2次関数なので、平方完成で最小値が求まります。

 

(2) f(t)のグラフを描くと、f(t)≧aのグラフの幅の合計が1になりえるのは、(1)の答え<a<1の場合に限られることが分かります。

 

あとは、y=f(t)とy=aの交点t座標をaの式で求めて、幅の合計が1になるaを求めましょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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3次関数の最大値についての問題です。

 

(1)y=f(x)のグラフを描いてしまえば一目瞭然に分かります。

 

(2) M(a)≦6aであれば事足りるので、この不等式を解きましょう。

 

<筆者の解答>

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第5問

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確率の問題です。

 

(1) x>yとなるような(x,y)の組の個数を数えます。x=y+lと差をlに固定して数えて総和を取るという方針で良いでしょう。

 

(2)2x=y+zとなるとき、y→x→zはこの順番で等差数列になります。これに注意し、(1)と同じように公差を固定して(x,y,z)の個数を数えて総和を取ります。nの偶奇によって場合分けが発生することに注意です。

 

<筆者の解答>

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