このシリーズでは、東京慈恵会医科大学の数学の問題を解いていきます。
22回目の今回は2001年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
小問集合です。
(1)論理の問題です。
矢印の両端を否定してひっくり返せば「対偶」ですね。不等号は等号が付いたうえで逆転、「ある」は「すべて」に変えてあげればOKです。
ちなみに、言うまでもなくこの命題は「真」です。
(2)条件付確率の問題です。
A1,A2,A3が全ての事象だと言っているので、A3の発生確率が1-p1-p2となることに注意します。
これに気を付けてあげれば、基本的な条件付確率の計算問題です。
(3)積分の計算問題です。
logの絡んだ積分なので、(x)'を無理やり作って部分積分に持ち込む形です。残った分数関数の積分は、分子の次数を分母よりも小さくして考えるのが基本で、今回の場合はxをtanで置換するとうまくいくタイプとなります。
(4)3元連立1次方程式を解く問題です。
xの係数が1,2とシンプルな数字だけになっているのでxを消去してy,zだけの2本の方程式を作るとよいでしょう。
この2本を連立すると行列の形にできますが、係数行列が逆行列を持つ(行列式≠0)ときは綺麗に解くことができます。一方で逆行列がない場合は個別に考えてあげる必要があります。
後者の場合は、2本の方程式が矛盾して「解なし」となるか、実質1本の式になって「解が無数に発生」の2択になります。
<筆者の解答>
第2問
不等式評価の問題です。
(1)問題文の不等式をxについて解いて、|x|の最小値の候補を探していきます。不等式を解く際には、グラフを描くと分かりやすくなります。
(2) aを固定した場合にxを動かして最小値を調べ、その最小値に対してaを動かして最小化する「予選決勝法」を使います。前者については(1)で分子の最小値を調べているので容易いでしょう。
(3)これは発想力勝負の難問です。
証明した不等式の右辺に露骨に(2)の結果の値が入っているので、当然(2)の知見を使いたくなります。
ヒントで|q^2 -2p^2|≧1が与えられていることを考えると、「左辺にq/p-√2をかけてq^2 -2p^2を作りたくなるよね」と思いつけば儲けものです。
(1)の不等式でx=q/p+√2とすると、見事にq^2 -2p^2が作れて、結果aを1/pにすればよさそうだと分かります。p≧1なので、0<a≦1という条件もばっちり満たしています。
ここまでわかれば、(2)でx=q/p+√2, a=1/pとしたものを考えればよいことになって、不等式が証明できます。
初見では、中々これに気付けずに試行錯誤ししくじり、かなり時間がかかってしまいましたね。。。。
等号成立しないことについては、不等式の証明ができていなくても独立に証明できるので、悲観する必要はありません。
こちらについては、√3+n√2 (n:整数)が整数にならないことを実質証明する問題になります。
この数が整数なら2乗した数も整数になるはずですが、整数+整数×√6の形になって√6が無理数なのでNGとなり、唯一の例外であるn=0の場合も√3自体が無理数なのでやはりNGです。
ちなみに、ヒントになっている(*)は簡単に証明できます。
q^2の素因数2の個数は偶数個なのに対して、2p^2の素因数2の個数は奇数個となって食い違っているので、q^2=2p^2にはなりえません。そして双方とも整数なのですから、必ず左は1以上あることになります。
<筆者の解答>
第3問
パラメータ表示された曲線に関する問題です。
このx,yの式、どうも見覚えがあるなぁと思ったら、なんと3年後の同じ慈恵医大の問題で同じ式で出題されてるじゃないですか。。。(21世紀の慈恵医大数学 -2004年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com))
違いはxとyが逆になってるだけで、これは流石に手抜きじゃないですか?慈恵医大さん?ちょっと過去問を漁れば全く同じ式を扱っててほぼ同じことをさせてるって、過去問演習の有無が決定的に影響しちゃうじゃないですか。
余談はここまでにしておいて・・・
(1)yをtで微分して増減を調べます。
(2)(3)
2004年の方で説明してる通り、与えられた式から直接式変形でx,yの関係式を調べるのはかなり難しいので、一旦xの増減も調べることで先にCの概形を描いてしまうとよいでしょう。
すると、Cの式が逆算で予想できるので、それを実際に確かめるという形になります。
(4)積分で面積計算していきます。xをsinで置換するとうまくタイプの積分です。
<筆者の解答>