このシリーズでは、日本医科大学の数学の問題を解いていきます。
初回の今回は2022年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
複素平面に関する問題です。
ア、イ:wの式をz=の形に直してCの式|z|=2に代入して変形していきます。
ウ~カ:図を描くことでβの値が具体的に分かるので、それを元に(z-w)/(z-β)を直接計算するとよいでしょう。
キ~サ:ウ~カの結果を使って√5PQ≦BPを処理していくことでzの条件が求まります。Cのうちこの条件を満たす部分を考えてあげれば視覚的にBPの最大最小が把握できます。
<筆者の解答>
第2問
確率と整数の融合問題です。
(1) 要するに条件付確率を計算することになるので、Aから赤を引く確率、Bから赤を引く確率をそれぞれ調べてあげることで計算できます。本問の確率要素はここまでで終了です。
(2)1/6≦p≦2/7を(1)の結果を使ってx,yの式に書き換えてあげると、y≦x≦2yとなります。
yを固定した状態でのxの個数を調べて足し上げればN(n)が求まるわけですが、nの偶奇による場合分けが発生することに注意です。
今回は、場合分けを減らせるように「x固定」ではなく「y固定」にすると見通しが良くなります。
(3) nの2次不等式を解くわけですが、馬鹿正直に「解の公式を使って・・・」というわけにはいかなさそうなので、ある程度nの当たりをつけて単調性を利用するとよいでしょう。2022に近い平方数に45^2=2025があることに気付けると、n/2は45付近ではないかとおおよその当たりが付きます。
<筆者の解答>
第3問
楕円の接線に関する総合問題です。
(1)Cとlを連立した方程式が重解を持つ条件を考えればよいでしょう。
(2)Oとlの距離がhとなります。
(3)Hの座標を求めることで、内積の式に帰着させればよいです。
(4)t=m^2としてsinθを2乗した式をtで微分すると見通しが良くなります。
(5)これは難問の部類だと思います。
与えられた不等式の条件が綺麗にグラフに描けないので視覚的にMの最大最小を考えることができません。なので、代数的に処理していきます。といっても、a,bの2文字が絡むので考えにくいです。
2文字あることが厄介な点だったので、まずは「1文字に統一できないか」を考えてみることにします。Mを帯分数の形にすると、s=a/bとすればMがsだけの式にでき、sが最大の時にMも最大になることが分かります。なので、sの取りうる値を考えていきます。
不等式からaを消去してあげると、s≦(bの式)と変形できます。ということは、s=右辺の最大値のときにsが最大になることになりますので、右辺のbの式の最大値を考えてあげれば実質よくなります。
(※bに対してaが独立に決められるので、bに対してsを独立に考えてあげることができます)
<筆者の解答>
第4問
関数の概形と回転体の体積を計算する問題です。
(1) f(x)の形からしてイヤな予感がします。実際にf'(x), f''(x)の計算は非常に煩雑で厄介です。これらの符号さえわかればいいので、符号がはっきりしている因数は考慮の外に追いやって、符号を決める因数だけを必死に計算していくことに尽きます。一応(2)は(1)とは独立に解くことが可能です。
(2)積分計算をしていくのですが、今回はyで積分する方が見通しが良くなります。
すると、分母に1+y^2の形が登場するので、y=tanθと置換することで先に進んでいき、最終的に(cosθ)^偶数の形の積分の和となります。
三角関数の累乗と積分の相性はよくないので、できるだけ倍角を使って累乗を解消していく方向に計算していくのですが、かなり厄介です。今回のような(cosθ)^偶数の形の積分は、漸化式を作って計算していく方が労力を減らすことができます。
<筆者の解答>