このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
9回目の今回は2010年になります。
※2011年は東日本大震災の影響で後期入試は中止になっています。
第1問
不等式証明の問題で、第1問にして本セット最難問だと思います。確か昭和の大昔に東大でもほぼ同じような問題が出題されてた記憶があります。直感的には当たり前で等号成立条件もすぐに思いつきますが、実際にそれを証明するとなると難しいです。
与式を変形するとΣxiyi≧Σxiziとなるので、これを証明することになるのですが、どうやって証明すればいいか分かりにくいです。どう頭を捻っても直接これを示すのは難しそうなので、「数学的帰納法」でイケないかを試してみることにします。
帰納法のうち、初項(n=2)については簡単に証明できます。問題は実際にドミノを倒す部分(n=kで成立するならn=k+1でも成立する)です。この時は、等号成立条件を見越してzk+1=yk+1かzk+1≠yk+1で場合分けします。
後者の場合は、値がyk+1になるzjが必ずあってzk+1>yk+1となることを利用するのですが、これまでの仮定をフル動員することになるので、発想力がないとなかなか筆が進まないでしょうね。
<筆者の解答>
第2問
2次方程式の解に関する対称式に絡んだ整数問題です。
(1)解と係数の関係からα+β=-b, αβ=1が分かるので、それを使って、an=α^n+β^nの漸化式とa1, a2を調べることができます。漸化式が整数係数でa1, a2が整数なのでanはすべて整数だといえます。
(※答案では書き忘れてますが、a0=2なので、言うまでもなくa0も整数ですね)
(2) |α|>|β|のとき、(1)で調べたαβ=1から|β|<1が言えます。なので、nが十分大きい所ではβ^nの値はほとんど0に近い数になるので、α^nに最も近い整数は(1)のanそのものになり、dnは|β|^nになります。
(※今回はn→∞の極限を考えているので、|β|^nがそれなりに大きな値になる(α^nに最も近い整数が確定しにくい)nが小さい範囲には興味がありません。)
<筆者の解答>
第3問
1次変換の問題です。
実質「y=mxに関する対象移動」を表す行列を調べる作業に終始します。(X,Y)が(X',Y')に移るとき、中点がy=mx上にある、傾きがy=mxに直交する、という2条件から行列が求まります。
<筆者の解答>
第4問
(筆者注:x1=0ではなく、x0=0です)
数列に関する不等式証明の問題です。(3)は正直あまり自信がありません。
(1) (2) こちらに関しては、数学的帰納法でよいでしょう。
(3)こちらに関しては、(2)のような帰納法が使えるαの最大値は何かな?という目線で解きました。(2)と同じように帰納法のシナリオに沿って議論を進めていくと、α^(n+1)≧4α-1が任意のnについて成立していればOKだと分かります。αのべき乗は単調減少で0に収束していくので、0≧4α-1であればクリアということで、α≦1/4で完了(だと思います)。
ただ、必ずしも帰納法で示せる範囲じゃなくてももっと大きいαがあり得るかもしれない、という可能性が排除しきれてないため、そこが自信のない部分です。
<筆者の解答>
第5問
方程式の実数解の個数を数える問題です。
(1) (2)に共通してcosx=t (-1≦t≦t)と変換してtの個数を数える、という方針で行くと見通しが良くなります。このとき、t=-1のときは対応するxは1個、tがそれ以外であれば対応するxは2個であることに注意が必要です。
(1)こちらは上記の変換によってtの値が具体的に求まってしまいます。
(2) 与式はcosπt=tとなるので、f(t) = cosπt -tの増減を調べることでtの個数を調べましょう。
<筆者の解答>
第6問
1/4円柱の回転体の体積を計算する問題です。
Bを平面x=tで切った時の断面を90°回転するときの通過領域がCの断面になるので、その面積を求めて積分してしまえば体積が求まります。
<筆者の解答>