先日行われた、東北大学の2022年度の後期日程の理系数学を解いていきます。
第1問
放物線に関する法線と面積の問題です。
(1)l'の式の導出は流石に教科書レベルでしょうし、Pの座標はCとl'を連立すれば片が付きます。
(2) S(a)はx^2の積分で求まりますが、T(a)は若干計算が面倒になりそうです。ここはS(a)+T(a)が台形になっていることに注目してこちらの式を計算したほうが楽になると思います。こうしてT/Sが求まってしまえば、極限計算は容易です。
<筆者の解答>
第2問
方程式の整数解に関する問題です。
せっかく与式が 「積の形=6」という整数問題を考えるのに適した形をしているので、わざわざ展開して考えてしまうのは悪手です。
(1) k, m ,nに具体的な数値を入れての検討になります。与式の左辺は(xの1次式)×(xの2次式)=6になっているので、それぞれの因数は6の約数になります。そして、xの2次式の方はきれいに平方完成出来て平方数を登場させることができるので、こちらからxの候補を絞ると見通しよく進みます。
(2) k-1=4N、x=2Xとおいて式変形すると、Xの候補がNとN+1の2つしかないことが分かります。方程式が偶数解を2つもつということは、このX=N, N+1が両方とも解になるように辻褄を合わせればよいことになります。
答えが求まったら、ちょうど(1)が(2)の具体例になっているので、ちゃんと(1)のk,m,nが条件を満たしているかを確認するとよいと思います。
<筆者の解答>
第3問
三角形の重心を通る直線に関する面積比の問題です。
(1) 底辺の長さの比に着目出来れば、中学数学レベルで証明できます。
(2)こちらはベクトルを使って処理するとよいでしょう。AP=pAB, AQ=qACとしてあげると面積比T/Sは(1)の結果からpqと書くことができ、Oが直線PQ上にあるという条件からp,qの関係式が分かります(答案では両方ともrという1つのパラメータで書ける、という方針で進めています)。
p,qの取りうる値の範囲に注意して、増減を調べましょう。
<筆者の解答>
第4問
確率の問題です。
状況設定がかなり複雑ですが、注目すべきは「玉の番号1~3はすべて対称になっている」ということです。これに気づけないと場合分けが非常に煩雑になってしまいます。
(1) ルールに従うと「Aから2, Bから1」「Aから3, Bから2」「Aから1, Bから3」を取り出せばAに2個玉が入ることになります。
(2) AとBは対称な関係にあるので、「Bが空になる確率」に特化して考えればよいでしょう(最終的に、その確率を2倍したものが答えです)
Bが空になるには、(1)で考えた「Aから2, Bから1」「Aから3, Bから2」「Aから1, Bから3」が1回ずつ起こればよいわけで、これらの起こる順番6通りはすべて対称になっています。なので、「Aから2, Bから1」→「Aから3, Bから2」→「Aから1, Bから3」の順番に起こる確率を実質考えればOKということになります。
[訂正] (2)でよくよく調べてみると、「Aから2, Bから1」→「Aから3, Bから2」→「Aから1, Bから3」となる確率と、「Aから2, Bから1」→「Aから1, Bから3」→「Aから3, Bから2」となる確率が違うことが分かりました。初手については完全に対称なので、この2パターンの確率を調べる必要がありました。早合点してしまいましたね。
(3) こちらも対称性から「Bの中身が番号3の玉2個になる確率」を実質考えればOKです。(最終的には、それを6倍したものが答えです)
「Bの中身が番号3の玉2個になる」には、「Bから1と2が除去され、3が新たに1個追加される」必要があります。調べていくと、実はこうなる玉の取り方が、「Aから3, Bから2」→「Aから3, Bから1」→「Aから2, Bから1」の1通りしかないことが分かります。
<筆者の解答>
第5問
円に関する面積の最大値を考える問題です。
まずは問題文の状況をきちんと図に起こすことが肝要です。C'はちょうどCとlの右側で挟まれる円だと分かります。
(1) C'の半径rがr=(1-cosα)/2とかけて、AB=2sinαとかけるので、これで問題文の条件を式に起こして考えればよいでしょう。最終的にはtanxの単調性を利用します。
(2) 積分を使うまでもなく、図形の差し引きだけで面積が求まります。
(3) Sをαで微分すると、実は(1)で考えた「ただ一つのα」こそがβであると分かります。
<筆者の解答>
第6問
(1) f(x)を微分することで増減を調べることができます。
(2) V(t+h)-V(t)は、y=f(x)とx軸とx=t, x=t+hで囲まれた領域をy軸回転した立体の体積であり、バウムクーヘンの体積で上下挟むことができます。
問題文ではt>eという条件が付いていますが、実はt≧e^(1/3) (※(1)で考えたf(x)が最大になるときのxの値)であればこの不等式は成立します。
(3) (2)の不等式でh→0の極限をとれば、はさみうちの定理によってV'(t)が求まり、それを積分することでV(t)が求まります。ただし積分定数が残ってしまいますが。
上記はあくまでt≧e^(1/3)での話だったので、1<t≦e^(1/3)でも(2)と同じような不等式を作って別にV(t)を調べる必要があります。結局、t≧e^(1/3)の場合とほぼ同じ式で、積分定数だけが違う式になります。
あとは、t=e^(1/3)でのV(t)の連続性と、t→1でV(t)→0となることから積分定数を確定させて、フィニッシュです。
<筆者の解答>