ちょぴん先生の数学部屋

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平成の医科歯科大数学 -2000年-

このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。

 

23回目の今回は2000年です。

第1問

 

複素数を絡めた確率の問題です。

 

1+iと(1-i)/2を極形式に直しておくと、znが計算しやすくなります。以後すべて、1+iがa回、(1-i)/2がb回引かれるとして、各設問の条件に合う(a,b)の条件を調べることになります。

 

(3)については、aとbの条件が求めやすいznが「実数になる」確率の方を調べて、余事象から「虚数になる確率」を求める、という進め方をしています。ただ、後述する別解を考えると、この方法(直接a,bの条件を調べる)は難易度が高めになってしまったと思います。

 

別解は漸化式を立てる方法で、操作を二回行ったときの複素数の積が「実数or純虚数」だけなので、nが偶数の時はznは実数か純虚数にしかなりえません。これを利用して漸化式を立てるわけです。こちらの方がはるかに簡単に答えが求まりました。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

ベクトルを利用した点の存在範囲を調べる問題です。

 

(1)これは流石に教科書レベルです。OP=rOA+sOBの形の時、r+s=1ならPは直線AB上にあり、さらにr≧0, s≧0なら線分AB上にあることになります。それを利用しましょう。

 

(2)tを消去してあげれば(1)と同様の形に帰着できます。ここで得られた結果は、一般にOP=rOA+sOB+tOCの形でr≧0, s≧0,t≧0, r+s+t=1なら、Pは△ABCの周と内部にある、ということです。

 

(3)これは難問です。4つのベクトルの線形和なのでぱっと見だと想像しにくいですね。

 

ここは困難は分割せよです。

(1),(2)の類推からr+s+t+u=1だと好都合なわけです。なので、r+s+t+uをXと固定してXで両辺を割ってしまうと見通しが良くなります。同様の施行を繰り返し、最終的に(2)のような形に帰着させることを目標にしていきましょう。

 

こうして、ベースになる三角形が分かるので、あとは原点を中心にした拡大縮小や、平行移動を駆使してPの範囲まで逆算していきます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

逆関数に関する問題です。

 

(1)定石通りにl1,l2の式を計算して、傾きが等しくなるような条件を求めます。

 

(2) g(1)の値を求めてしまえば(1)の結果を使ってlの式を計算できます。その後図を描いて積分計算です。

g(1)の値については、g(1)=aとおいて、aがf(a)=1を満たすことを利用して求めます。

積分計算では、g(x)の式を予め求めておくと見通しが良くなり、置換積分を使うもよし、長方形から逆関数積分値(面積)を引く方法でもよしです。

 

(3)C1とC2は直線y=xについて対称なことに注意すると、Pでの接線とQでの接線がy=xに平行な時にPQは最小になります。(1)の結果を使ってそのときのP,Qの座標を求めてしまいましょう。

 

<筆者の解答>