ちょぴん先生の数学部屋

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平成の医科歯科大数学 -1999年-

このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。

 

23回目の今回は2000年です。

第1問

3本の直線、3つの平面の共有点に関する問題です。

 

(1)l2とl3の交点がl1を通る条件、で基本的には処理していくことになります。

ただ、l2とl3が平行になる場合があり、それは個別に調べる必要があります。

 

(2)考え方は(1)と同様ですが、3つの方程式を連立して解くのが高校範囲だと非常に厳しいです。(大学1年の「線形代数」で、3×3の逆行列を求める方法を学ぶことになります。答案ではそれを使って最終結果だけ書いています)

 

頑張って解くと、(a-b)(b-c)(c-a)≠0のときは3平面の共有点はただ1点となって不適となることが分かります。

ということで、共有点が2個以上になるためには(a-b)(b-c)(c-a)=0となっていることが必要になるので、場合分けして検討していきます。途中でもa~cが0になるか否かといった細かい場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

 

第2問

複素数平面の問題です。

 

(1) z=x+iyと変換すると、「x+y=0またはx-y=0」が言えます。

 

(2) α=1/2-√3/2iとおいてw=αzとすると、(1)に帰着できます。αは「原点周りに-60°回転させる」効果があるので、結局(1)の答えを「原点周りに+60°回転させ」ればよいわけです。

 

(3)係数が虚数になっていると考えにくいので、できるだけ簡単にしていきます。(2)で登場したαに対してβ^2=αとなるようにβをとってω=βzとすると、係数を全て整数にできます。さらにω=X+iYと変換すると、最終的に楕円の式に帰着できます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

点の速度・加速度、道のりに関する問題です。

 

さきに問題文からPとQの座標をtの式で表現しておくとよいです。

※Qの解釈を誤っていたため、修正を行いました。

 

(1)Qの座標を2回tで微分するとQの加速度が求まるので、それが0になる瞬間をt=t0とおいて連立方程式を解いていきます。三角関数を2乗の和で消去する、という発想で攻めるとよいです。

 

(2)Qの「速さ」は、Qの座標の1回微分(つまり「速度」)の大きさです。この速さをtで積分してあげると道のりLが求まる流れになります。

 

<筆者の解答>

 

以下、Qの解釈を誤ったが故の誤答です。道のりの積分計算で詰んでしまいます。

※詳細:Qの角速度ωを、「Pから見たときの角速度」と勝手に解釈してしまっていました。正しくは、ωは「Oから見たときの角速度」です。