このシリーズでは、奈良県立医科大学の前期の数学の問題を解いていきます。
16回目の今回は2007年です。
第1問
2進数の1の位を調べて、常用対数log2が無理数であることを証明する問題です。
(1)2^4, 2^5あたりまで調べれば、1の位が2→4→8→6→2→・・・とループすることが分かります。
(2) 例によって背理法で証明します。つまり、log2=q/pとなるような自然数p.qが存在すると仮定して矛盾を導きます。
log2=q/pを変形すると、2^p=10^qとなりますが、左辺の1の位が(1)の結果から0にならないのに対し、右辺の1の位は必ず0なので矛盾します。
(1)の結果を利用せずとも、左辺には素因数5がないのに右辺にはあるから矛盾、という論法でも証明可能です。
余談ですが、実はlog2は、無理数であるのみならず、その中でも特別な「超越数」であることが知られています。
(超越数に関する記事はこちら俺は、方程式を超越する!! ~超越数~ - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com) )
<筆者の解答>
第2問
四角錐の中で、角度の最大最小を考える問題です。
(1)底面がxy平面にあって、頂点Oがz軸上にあるような座標軸を設定すると見通しが良くなります。
(2) cosθを帯分数で表すと、実質xによって変化するのは分母にある2次関数の部分だけになります。なので、この2次関数の0≦x≦aでの最大値最小値を考えてあげればよくなります。ただし、最大値を考える際にaの値による場合分けが発生することに注意です。
<筆者の解答>
第3問
点の一次変換に関する問題です。
L1, L2がそれぞれ原則y=xtanα, y=xtanβと書けることに注意して解いていきます。ただし、tanが発散するα=π/2やβ=π/2の場合だけ例外処理する必要があります。
(1) L1と垂直でPを通る直線の式は容易に求まるので、L1と連立します。α≠π/2の場合はAはtanαの式で書けますが、α=π/2の場合を包括できるように、sinα, cosαにばらしたほうが好ましいと思います。
(2) QをRに移す1次変換は、Aでαをβに置き換えたものになるので、それとAをこの順番に掛け算したものがBになります。(3)を見越すと、各成分をcos(β-α)で括れるように因数分解しておくのが賢明ですが、一見するとそれに気付きにくいのが難点ですかね。
(3)Tの座標は、Rの式でαとβを入れ替えたものになるので、それを利用するとRTはかなりスッキリした式になります。あとは条件に従って方程式を解いていけばよいです。
<筆者の解答>
第4問
回転体の体積の大小関係を調べる問題です。
(1)ただの部分積分ですね。当然ながら(2)で利用します。
(2) 円錐の体積と絡めることでV, Wともに計算できます。Wの計算では、最初yで積分する格好なのを変数変換でxでの積分に変えていきます。その過程で(1)の形が登場することになりますね。
V-Wを計算すると、π(2π+1)と24の大小関係がVとWの大小関係に直結することが分かります。
ここで試行錯誤が要りますが、π<3.2を使うとうまく評価できます。
<筆者の解答>