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令和の京府医大数学 -2020年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

3回目の今回は2020年です。

第1問

 

放物線とその法線に関する回転体の体積の計算問題です。

 

(1)これは流石に教科書レベルでしょう。

 

(2)CとlのP以外の交点を調べて、積分していきます。

 

(3)lが変転を通るときKはx軸を跨ぐ形状になるので、回転体を考える時は、x軸の下にある部分を折り返す必要があります。折り返した形状を調べてから、ひたすらに積分計算です。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

統計学の問題です。

共分散や標準偏差の計算が地獄の一言です。

 

(1)共分散を計算するには、xiとyiのそれぞれの平均が必要で、なおかつxiyiの平均も必要になります。

 

(2)相関係数rが、共分散÷(xiの標準偏差×yiの標準偏差)で計算される量なので、r=0なら共分散=0になります。

ということで、(1)の結果を0にする整数kが存在しないことを説明します。

 

(3)r自体の式が必要になるので、xiとyiの標準偏差が必要となります。そのためにはxi^2とyi^2の平均が必要で、特に後者の計算が中々にえげつないです・・・

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

複素数に関する問題です。

 

(1)z=a+biとすれば即座に証明できます。

 

(2) (1)の結果から、実質αβ*-α*βを計算する問題となります。g1,g2の定義式からαとβがg1,g2の式で書けるので、代入してまずはひたすら計算していきます。

最終段階で、ωが「1の3乗根」である事実を使って式を簡単にしていく算段です。

 

(3) O,A,Bが同一直線上にあるというのは、β/α=実数と言い換えられます。これを使って、(2)の結果から証明していきます。「必要十分条件」であることを示すので、「|g1|=|g2|ならばβ/α=実数」「β/α=実数ならば|g1|=|g2|」の両方を示す必要があります。

 

(4) AがOBを内分するという状況は、α=sβ (0<s<1)と言い換えられます。

 

この下でg1/g2を計算して偏角のtanθをsの式で書き、まずは0<s<1だと2π/3<θ<4π/3となることを示しましょう。次に、逆に2π/3<θ<4π/3ならば0<s<1であることを示していきますが、細かな注意が必要になります。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

抽象的な関数に関する極限の問題です。

問題文の条件から、y=f(x)が「上に凸のグラフである」という事実がわかります。

 

(1)A(k-1/n, f(k-1/n) ), B(k/n, f(k/n) )としたときに、「Aでの接線の傾き」「直線ABの傾き」「Bでの接線の傾き」の大小関係を、上凸性から調べていきます。最終的には、これらの傾きを持ってBを通る直線の上下関係が、不等式証明に直結していきます。

 

(2) (1)の結果で各辺をk-1/n≦x≦k/nで積分した後に、k=1,2,・・・nで和を取ると、はさみうちに帰着できます。

 

<筆者の解答>