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平成の京府医大数学 -2019年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

4回目の今回は2019年です。

第1問

 

双曲線関数に関する総合問題です。この問題のf(x)のことを「双曲線関数」と呼びます。

 

(1) 微分して符号を確認するだけです。この曲線は「カテナリー」と呼ばれていて、糸を両端を固定して垂らしたときにできる曲線がこれになることが知られています。

 

(2)f(x)が下凸のグラフであることに注意して積分計算します。

 

(3)akが2種類の等比数列を足した格好になっているので、等比数列の和を実質計算する問題です。

 

(4)セオリー通りにlnを計算するのみです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

内接円を題材にした、図形の総合問題です。

 

(1) A(acosθ, asinθ)(θは鋭角), B(1,0)となるように座標設定すると計算の見通しが良くなります。

(※Bをx軸上に置いた方が、Cの式の処理が楽になります)

 

まず、内積の情報を使うと、0<cosθ<1からaの範囲の必要条件が求まります。これだけではDが存在するかどうかは保証されないので、次にDが存在する条件を調べていきます。

Cが原点でx軸に接し、かつAを通る条件からCの式が求まり、さらに直線ABの式を求めて連立すると、Dのx座標が求まる形になります。今回のDはAとBの間にあることが条件なので、そうなるようにaの範囲を決めてあげればOKです。

 

(2) (1)の結果からDの座標がaの式で求まるので、それを利用してあげます。すると、ODはなんとaによらない一定値になります(問題文に「aの式で求めよ」と書いてないあたりがヒントでしたね)。

 

(3)ABやBDの長さも調べて図にしてあげると、△OABと△BODは相似な二等辺三角形になります。頂角の三角比を余弦定理で出してあげれば、各三角形の面積と周長から内接円半径が求まります。

 

(4)r1r2の最大値を考える前半と、2つの内接円が接することを示す後半の2部構成になっています。

前半については、r1r2がかなりシンプルなaの式で書けるので、微分すれば事足ります。

 

問題は後半の方。

 

この段階からC1,C2の方程式を調べて連立して・・・というのはかなり面倒そうです。内接円が接しているかだけ知りたければ、C1,C2の中心I1,I2を考えたときに、I1I2⊥ODとなっていることを確かめればよいです。

ということで、I1, I2の座標を求めることがメインの作業です。

 

ここは問題からいったん離れて、各辺の長さがOP=p,OQ=q, PQ=Lとなるような△OPQの内心Iの位置ベクトルを計算する公式を作ってしまいましょう。

内心は、各頂点の角の2等分線が交わる点なので、角の2等分線の性質を使って書く線分の比を調べることができます。

 

こうして作った公式に当てはめてあげるとI1,I2の座標が求まり、内積=0からI1I2⊥ODが分かることになります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

(訂正:(2)の左辺はΣ(1/zk)の誤りです)

 

複素数に関する問題です。

 

(1) 複素数平面のままでは考えにくいので、z=x+iy, α=cosθ+sinθとしてxy平面の世界に焼き直してしまうのが良いでしょう。複素共役を使えば、x,y,θを全てz,αの式に変換可能です。

 

もちろん、複素数平面のまま考えてもOKです(別解にて紹介)。この場合、複素数平面でαと垂直な向きはiをかけたiαで表現できるのがポイントになります。

 

(2) (1)の結果を使って、zkをαkの式で表現することが目標です。すると、1/zk=1/αk + 1/αk+1と書けることがポイントです。さらに|αk|=1も利用して複素共役に変換できます。

 

(3) (2)の結果を使って、ド・モアブルの定理をふんだんに駆使して計算していきます。αkはαの等比数列になるので、Σ計算が可能です。

 

どこまで計算するのが推奨されるのかは分かりませんが、答案ではとりあえずシンプルな極形式で書けたところで止めています。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

正2n角形から三角形を作る、確率の問題です。

 

この問題を解き開かず鍵は「円周角の定理」です。

 

pnを考えていくポイントは「Tが直角三角形なら、Tのうち1辺は正2n角形の(外接円の)直径になっている」です。なので、直径を固定してあげれば残り2n-2個から頂点1個を選んであげればよい、という発想です。

 

一方のqnはそのままだと考えづらいので、余事象を考えます。つまり「Tが鈍角三角形になる」場合を考えます。

Tが鈍角三角形になるとき、「1つの直径に対して、3頂点が全部同じ側にある」という性質があるので数えやすいというわけです。1頂点を固定してあげると数えやすいでしょう。

これで、qn= 1- pn -(Tが鈍角三角形になる確率)で計算できるという流れです。

qnはシンプルな式になるので、極限計算は一瞬で出来ます。

 

<筆者の解答>