このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。
5回目の今回は2018年です。
第1問
領域図示と面積計算の問題です。
(1)LがDに入っているなら、常にe^x≧ax+bが成り立っているはずです。そうなるようなa,bの条件を探していきますが、aの値による場合分けが発生します。
(2)S(t)の形状はシンプルなので、素直に積分すればよいです。logの入っている積分は部分積分でlogを解消するのが基本です。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題・・・ではなく、不等式評価、極限、最大最小の計算問題です。
(1)x軸方向の動きを考えると、可能な限り5ずつ動いて、残りが4以下になったら1か3ずつ、最も手数が小さくなるようにすると最短でたどり着きます。y軸方向についても同様です。
残りの距離がどの値になるかで、手数に違いが発生するので場合分けしましょう。
(2)x軸方向とy軸方向に駒は独立に動くので、N(p,q)=N(p,0)+N(0,q)で計算できます。あとは、ガウス記号を不等式評価してあげることで、はさみうちに帰着して極限を調べることができます。
(3) R(a,b)は分母分子ともにa,bの1次式で次数が揃っています。なので、t=b/aとしてあげると増減が調べられます。その際に障害になるのがa=0やb=0の場合なので、それらだけ例外処理してあげます。
<筆者の解答>
第3問
四面体の考察と、その回転体の平面への射影を考える問題です。
(1)問題文にある垂直の条件から、この四面体の4つの面はすべて直角三角形になることが分かるので、三平方の定理をバンバン使ってあげます。
(2)△ABCを抽出してあげると、相似の関係から高さが求まります。面積からも計算できますね。
(3)ここからが本番という感じです。
まずは、考えやすいように座標軸を設定していきます。
αはABと平行ならどこにあっても構わないので、考えやすいようにxy平面にしてしまいます。そしてA,Bをα上に乗っける形でA(0,0,0), B(1,0,0)としてしまいます。
問題文には「αは十分に四面体から離れている」とありますが、今回知りたいのはあくまで四面体の影です。四面体の影はA~Dの各頂点のz座標を0に置き換えた点A'~D'が作る図形になるので、結局A,Bがどのz座標にいても関係ないという話になります。だったら一々本体と影を区別しなくていいようにA,Bのz座標自体を0にしちゃえ、という発想です。
すると、(2)までで調べた事実からDの座標は(0,cosθ, sinθ), Cの座標は(3/4, √3/4sinθ、-√3/4cosθ)とパラメータ表示でき、その影C',D'もz座標を0にすることで求まります。このθを動かすことで四面体の回転を表現する形になります。
(3)の場合は、Dのz座標が0になるのでθ=0、πの場合を調べていくことになります。
(4)一般のθに対してA,B,C', D'の配置を考えていきますが、「C'が△ABD'の中に入る」「C'が△ABD'の外にいて、C',D'のどっちもがABについて同じ側にある」「C',D'がABについて互いに反対側にある」の3種類の配置違いがあるので、場合分けして面積を調べていきます。
<筆者の解答>
第4問
関数に関する総合問題で、全体的に発想力がものを言う難問です。
(1)y=fn(x)とx軸との交点が、一番左がx=0, 一番右がx=n-1にあるので、ちょうどその中間であるx=(n-1)/2が対称軸なのでは?と予想できます。
もしこの直線が対称軸なら、fn(n-1-x)=fn(x)が成り立っているはずなので、それをチェックしていきましょう。
(2) fn(x)=n!の実数解の1つがx=nなことはすぐに分かり、(1)の結果から対称な位置にあるx=-1も解になっていることが分かります。
問題は、「この2つ以外に実数解が存在しないこと」を如何に示すか、です。
まずx≦0やx≧n-1の部分ではfn(x)は単調に変化するので、解は高々1個ずつしかありません。
残りの0≦x≦n-1についてはどうか?この部分は増減が何度も変わり蛇行しているので、直感的に「この部分には解はない」ということができません。
極値を調べようにも、fn(x)を微分した式から即座に求めることもできない形です。
ここは、この極値たちが「全部絶対値がn!より小さい」ことが証明できれば良さそうなので、極値が直接求められない以上不等式評価で攻めていきます。
k<x<k+1の区間において、x=αkで極値を取るものとして|fn(αk)|をどんどん上から押さえこんでいきます。αkが整数でないことが面倒な部分なので、不等式評価によって整数の値に置き換えていきます。そうして評価すると、(k+1)!(n-k-1)!という式が得られ、これはnCk+1の分母の形(分子がn!)なのでn!より小さいと言えます。
(3) (2)の結果を活用してはさみうちに持ち込みます。極限を取る式は明らかに正なので、|fn(x)|を上から評価して積分すると0に収束する結果が出てくるのでは、と期待しつつ考えていきます。
とはいえ、途中でnCk+1≧nのような小技をいくつか仕込まないとうまくいかないので、やっぱり試験場では相当難しく感じるでしょうね。
<筆者の解答>