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21世紀の奈良県立医大前期数学 -2008年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の前期の数学の問題を解いていきます。

 

15回目の今回は2008年です。

第1問

整数問題です。

 

(1)x-iqとx-jqをpで割った余りが等しくなると仮定して、矛盾を導く背理法を使うとよいでしょう。

 

(2) x-jq=kp+r (k:非負整数、r: 0~p-1の値を取る整数)と書くことができ、(1)の結果から、r=0となるようなjが1~pの範囲でただ一つ見つかります。そのjをbとすれば、x=kp+bqの形まで持っていけるので、あとは、x>pqの条件からkが自然数となることを証明できれば終わりです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

ベクトル列の収束に関する問題です。

 

(1) Lの式をy=mxとして、AによってLがどんな直線に移るかを調べましょう。一応、Lがy軸に平行な場合x=0は例外処理として個別に考える必要がありますが。

 

ここで求まった直線の方向ベクトルは、Aの「固有ベクトル」と呼ばれるもので、Aをかけても向きが変わらない特別なベクトルとなります。この考え方が(2)のヒントとなります。

 

(2) (1)で求まったAの2つの固有ベクトルをα, βとすると、この2つのベクトルは1次独立なので、任意の平面ベクトル(x,y)が、実数u,vを用いて、(x,y)=uα+vβと書けることになります。

(答案では、α,βの表式に1/√2の係数を付けていますが、これはあくまでαとβの長さが1になるように調整した結果であり、本質的にはなくても大丈夫です)

 

先述のように、Aの固有ベクトルα,βはAをかけても向きが変わらない(つまりα,βのそれぞれ定数倍になるだけ)ので、この性質を使うとpn, qnの一般項が、等比数列の和の形で求まります。

 

pn, qnの両方が任意のu,vで収束するには、公比がそれぞれ「-1より大きく1以下」であればよいですね。a>0, b>0, a≠bに注意して図示していきましょう。

 

<筆者の解答>

 

第3問

不等式が常に成立する条件を調べる問題です。

 

左辺の絶対値の中身をf(θ)として、f(θ)の取りうる値の範囲が「-2以上2以下」に収まっていればよいわけです。

なので、2倍角の公式と合成を使うことでf(θ)の最大値と最小値を調べていきましょう。

 

<筆者の解答>

 

第4問

グラフの図示と面積計算の問題です。

 

(1) f(x)はx≧-1で連続で、x=0とx=-1以外では少なくとも微分可能なので、x>0のときと-1<x<0のときとでf'(x)を計算することができます。このf'(x)がx=0で不連続、つまり右から0に近づける極限と、左から0に近づける極限とが一致しなければ、「x=0で微分不可能」ということができます。

 

(2)さらにf''(x)も計算して増減表を作りましょう。ここで注意ですが、「極値」とは前後で増減が切り替わる点の値のことなので、f'(x)=0となる場所と完全イコールではありません。

 

(3) 図から単純な積分計算となります。ルートの中身は出来る限り単純にするのが鉄則です。

 

<筆者の解答>